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嫁入り支度 32

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サロンでポフンとソファに埋もれる。
キンキンに冷やしたブドウジュースを舐めるように少しずつ口に含む。
なぜか男性陣と女性陣に分かれてお酒を楽しんでる。

「こうして見ると結構好みが別れてるな」

「あー……お酒のこと?それはそうでしょ、お母様達は甘口な方が好きなのは分かってるの。本当は梅酒も出そうかと思ってたけど、杏の方が甘くて飲みやすいかなって」

思ったまま対面のソファに座るルークに話す。私の隣にアニス、ルークの隣にキース。横目でアニスを見れば凄い良い笑顔でキースと見つめ合いながら何か話してる……小声でボソボソと……親密な雰囲気。恋人かっ!いえ、恋人でしたね。

「エリーゼ、目つきが悪くなってるぞ。ほら」

急にクイッと顔の向きが変えられる。
目の前にルークの目があってドキン!と心臓が跳ねる。思うよりも近い顔にカァッと顔に熱が集まってくる。

「めっ……目つきって……そんな……」

目が逸らせない。離れて行かないルークの手に私の熱がバレそうでドキドキが加速する。
あれ……?何か近付いて来てない?

「はっはっはっ!酔ってもないし、婚姻もしてないのに近付きすぎじゃないか?ん?」

大きなお父様の手がルークの頭をガシリと掴んでる。ルーク、割と小顔だった。いや、大きい顔の人がまずいないのだけど。
グイグイと力尽くでお父様の手がルークの頭を離していく。
最終的には手まで離れていきました。

「お父様、乱暴はダメです」

「俺の目の前では許さん!」

子供みたいにプンスコ言っちゃって、お母様も止めて……止めれない状況になってました。
お母様達は杏のお酒二本目の半分に到達してました。飲みすぎです。四人で五合瓶飲み干してるなんて……いくら飲みやすくてもワインみたいにパカパカ飲んじゃうなんて……

「お母様達飲みすぎ……」

「はっはっはっ!あれ位は大丈夫だろう!俺も一瓶あけた所だ!」

「はぁ?」

さっきまでお父様が座っていた場所のテーブルには明らかに空になった瓶が三本。ちょっと待って……ウイスキーやブランデーが三本?ハッ!とキャスバルお兄様とトールお兄様を見れば、日本酒でヨイヨイになりかかってるのか超ご機嫌でサキイカ齧ってます。
いや、日本酒にサキイカは美味しいけど!お母様達も杏のお酒にドライフルーツとか合いますけど!
誰かお父様を止めてぇ!
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