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嫁入り支度 5

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さて、私達は二階の自室からそのまま別館二階を突き進み、新館二階を目指して歩き今は私達の自室となる部屋を目指してるんですが……遠っ!縦も横も大きいってこういう事なんですね!
廊下なんか仕切り壁とか使えばあっという間にお部屋が出来ちゃいそうな広さ!何たらモールとかの広さに似通ってる……もう幾つか扉の前を素通りしてるのに……

「お待たせ致しました。こちらがお二人のお部屋になります」

そうしてアンソニーに開けられた扉は両開きの観音開き。
広い……広い居間って事で合ってるのよね?とりあえず程度のソファセットとワゴンとか最低限な家具が置いてあります。
本当……頑張って家具とか選……壁もだ……いや、一応人が住める程度にはなってますよ。でも私好みじゃありません。暖炉とかもあってシャレオツです。でもそれだけ。

「広いわね……」

そう言ってソファに座る。勿論ルークも座ります。アニスとキースは私達の後ろに立ちます。うん、少しキースが緊張してますね。

「左様ですか?そろそろエルフとドワーフの職人頭が参るでしょう」

アンソニーはサラッと言うとワゴンに近づき紅茶の準備を始める。
魔法でポットの中の湯を沸かし直し、別のポットに紅茶葉を入れ湯を注ぐ。……高い位置から注ぐ様は格好いい。
執事カフェとかこんな感じか……アニスとは違うなー……アニスはこう、可愛さが売りなんで格好良さは無いんだよね。
今、この五人の中ではアンソニーが一番の下位なのでそのまま黙って待つ。
コトリと逆さにされた砂時計……不思議に思うでしょ?昔っからあるんですって謎ですね。一分の砂時計と三分の砂時計があるんです。そしてこの砂時計正確なんですよ。

「……ここを中心に左右に部屋が分かれると言う事かな?」

ルークの静かな声が普段の雰囲気と違いドキリとする。やっぱり皇子様だけあるな……

「左様でございます。旦那様からはどちらを使うも自由にさせよと……」

私、センターに近い方が良いなー……

「そうか。じゃあ奥側は俺が使うかな?エリーゼは近い方が良いだろう?」

バレたし!そりゃ大した距離じゃないかもだけど、そこはやっぱり気遣われたと思うと嬉しい。

「ええ。ありがとう。」

静かに目前に置かれた紅茶を手に取り一口啜る。勿論、音は立てない!ん?んー……ほんのりイチゴの香りがする。思わずニコリと笑みが零れてしまう。

「以前姫様が広めた方法で作ったイチゴの紅茶でございます」

有能!うちの執事ってこんなに有能なんだ。聞かなくてもサラッと言ってくれる。執事長の教育が行き届いてるってこう言う事なのね。
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