婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 230

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島は中々の攻略ポイントだと判明しました。そしてルークが期待に満ち満ちた目になっちゃってます。
理解出来るだけに何とも言えません。

「それにしても美味しいわね……」

食べやすい大きさのケーキはシンプルな紅茶が合う。
茶葉もあちこちで作ってて、地方で味が変わる。今、飲んでる物はちょっと前までお祖父さまが住んでた辺りで作ってたお茶で渋みも少なくて飲みやすい。
火山であるルキ山から温風が流れてくるので、住みやすいと言えば住みやすい地域だけど魔物もそれなりに多い地域だし領主隊ではなく領主隊より戦闘力の落ちる領地隊が常駐して何とか対象してるけど大変らしいの。

「確かに」

ルークも美味しそうに食べては紅茶を飲んでる。
一見マッタリと食後のデザートを楽しんでる風だけど、心中は違うわよね……私だって違うもの。
リアル島探訪は暫く止めよう。

「そうだな……」

ん?今まで無言だったお父様がハムッとケーキを食べた後、重い口を開くようです。

「二人の婚姻式が済み、帝国にご挨拶に行った後……正確にはキャスバルの婚姻式が行われた後なら島に行くか?」

「え……?」

お父様、本気ですか?チラッと見たルークが子供の様に目をキラキラさせちゃってますよ!

「キャスバルが婚姻すれば俺は正式に領主の座を譲れる。そうなればフェリシアと共に一緒に島に行ける」

「まあ!素敵ね!」

ちょっ!お父様、早くありませんか?!そしてお母様、嬉しいんですか?嬉しいんですね!
……あ……圧が……キャスバルお兄様から圧が……

「父上も母上も……俺に仕事を押しつけてエリーゼとぉ……」

般若です!般若がここにいます!お巡りさん、タスケテ~~!

「まあ!嫌だわ。私達も随分と早くに領主夫妻の座を譲られたのよ。しかもハインリッヒには兄弟もいなかったし……」

そうだった……お父様は一人っ子で確か……うん、キャスバルお兄様が拒否れる年齢じゃなかった!
一瞬で理解したのか般若解除されました。

「では父上と母上と一緒に行った後、俺とも行こうな!」

清々しい笑顔で言いました。勘弁して下さい、私はお兄様の婚約者様に恨まれたくありませんから。

「次期領主夫人からの承諾があれば行きましょうね」

ニッコリ笑顔でキャスバルお兄様に釘を刺しておきます。
全く困ったシスコンお兄様です。
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