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新天地を! 218

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何て恐ろしい事になってるのか……
いや、そんな事はどうでも良い。大事なのは領都の食だ!

「アニス……近いうちに領都に行ってどうなってるか見に行こうか?」

「楽しそうです!」

「おでかけにゃ?」

「きになるにゃ!」

タマトラ以外は大人しい。ピカ太郎は最後の一個をちょっとずつ齧ったり舐めたりしてる……何か切なくなるから止めなさいとは言えない。
小さい子供がお菓子を少しでも味わいたくてやる行動そっくりで何とも言えない。
ユキもヒナもリコもスラ道も生温かい目でピカ太郎を見てる……うん、言えないよね。

「ええ。いつとは決めてないけど、今の領都がどんな物を食べてるのか気になってるのよね」

「そうですよね。私も気になってます。確か領都の食堂や宿屋がこちらで料理を習ったとか……」

「あら、そうなのね」

「はい。料理人達も一緒になって教わってると聞きました。兵舎の料理人も使用人棟の料理人も上達して、食事に対する不満が解消されたって……」

使用人が多いから、その使用人達の衣食住も保障してるけど……そうか食は一番遅れてたわよね。

コンコンコン……

あら?また?晩ご飯前に忙しいわね。
そう思って入って来た人物を見たらルークでした!ノエルとルチルを連れてますがキースは連れてません。

「エリーゼ。食事前で悪……って何で空のお皿があるのかな?」

「それはお茶請けに甘い物が食べたくて食べてたから」

嘘は言わない!胸を張って堂々と言う!エッヘン。

「ちなみに何を食べた?」

「アーモンドチョコレートとマカダミアナッツチョコレート」

ピクッと動きが止まった後、みるみるうちにに顔がションボリになってきた。

「え?食べたかった?」

コクリと頷くルーク。うん、可愛い……とか思っちゃった。

「にいに!ソレどうしたピカ!」

目ざといルチルがいまだチマチマ食べたり何だりしてたハバネロを見て叫んだ。
あーあ……ちびっ子同士のケンカとかしちゃうのかなぁ……
チラッと見ればピカ太郎が一瞬悲しそうな顔をしたけど食べかけの小さなハバネロをルチルに差し出した!

「ごほうびピカ……ルチル、たべるピカ?」

「うれしいピカァ!」

差し出された小さなハバネロをパッと取ってパクッと食べたルチル……ギルティ……私の中ではギルティですよ……

「済まない!エリーゼ、その……ルチルに悪気は無いんだ」

「だったら私に言えば良い事でしょう?ピカ太郎、ピカ太郎は良いお兄ちゃんね。偉かったわね」

注意の後に褒めるとか私の心がギリギリします。
悪気無くてもあんまり見てて良い気分しません。

「いいピカ……ルチルにあげたかったピカ」

クッ!ピカ太郎め!こんな時だけ良い子アピールしてぇっ!
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