婚約破棄されまして(笑)

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新天地を！ 213

「あったまりますね……」

アニスがホゥ……と息を漏らして呟いた言葉に心の中でうんうんと頷く。

「疲れた時は甘い物に限るわね。それにしてもお母様ったらどれだけ気に入ったのかしら？」

「あ、確か前にエリーゼ様が置いていった壺を二回程一杯にしたって聞いてます！」

「……三回は壺一杯を食べてるって事かしら？」

まさかね……

「はいっ！少し前に聞いたので今は三回めのおかわりですね！」

oh！本気ですか……お母様……食べ過ぎな気がしますよ。さすがに。

「母さまいわく、お仕事の速度が変わらないから助かるって言ってました！なのでエリーゼ様には感謝しかないって」

仕事の鬼がいる……お母様だけじゃない。エミリも大概鬼よ……

「そう……」

「エリーゼ様もお仕事を少しずつ覚えていくようになりますし、もう少し甘い物をお部屋に常備しておきますね！」

「いや！それは大丈夫！食べたい物は無限収納から出すから！」

んー……と首を傾げたアニスが視線を彷徨わせる。
何かおかしな事言ったかしら？

「美味しすぎると噂になって奥様いらっしゃるんじゃないかしら？」

あー……！そうだった！お母様の事だもの来ちゃう！絶対に来ちゃうわよ！
アーモンドチョコレートとかマカダミアナッツチョコレートとかがあったの見つけてこっそり食べようと思ってたのにぃ！

「……エリーゼ様、何か隠してません？」

鋭い！アニスが鋭い～！

「あー……いや、隠してた訳じゃないわよ。ただ言わなかっただけで……」

本当ですっ！

「どんな甘味なんですか？」

「食べたいのね」

「はいっ！」

「しょうがないわね」

「あたらしいなにかがでてくるにゃ！」

「きょうみしかないにゃ！」

タマトラが興味津々で目をキラキラさせて乗り出して著ました（笑）
普通のニャンコだったらチョコレートとか色々食べさせれないけど、ニャンコの姿をした精霊だから何にも気にせず食べさせれるってのは心配が無くて良いけど錯覚しちゃう～！

「じゃあ少しだけよ」

コトリとお皿を出してからアーモンドチョコレートとマカダミアナッツチョコレートをザラザラと無限収納から出す。
視線を感じて顔を上げれば室内にいた侍女とメイドがガン見してました。

「皆で食べましょうか」

「「「ありがとうございます！」」」

声を揃えて近寄って来る侍女とメイド。

「たべていいにゃ？」

「はやくたべたいにゃ！」

「アニスもタマもトラジも食べて良いわよ。形が違うのは中身が違うからよ」

丸いのは多分アーモンドチョコレート。八角形はマカダミアナッツチョコレート……の気がする。