上 下
778 / 1,402
連載

新天地を! 195

しおりを挟む
まぁ、そんなこんなでお腹いっぱい食べて飲んだ所でお開きにして自室へと戻りました。
勿論アニスとカワイコちゃん達も一緒です。

「キースったら優しいんですよ~」

「そうね。優しくなかったら我が拳で分かるまでたっぷり話し合いだ」

「も~エリーゼ様ったら分かりやすい冗談を~」

自室のソファで寛いでいる時にアニスが可愛い笑顔で言うから、まごう事無き本心で言ったのに冗談として流された。

「本気ですが何か?」

「え……本気は止めて下さい。キースのキレイな顔が再起不能になるじゃないですか」

アレ?アニスったら顔も込みで惚れたのかしら?

「顔、大事?」

「大事ですよ!顔が悪かったらルーク様の側近から外されるじゃないですか!」

……そうだった!側近の採用には顔面偏差値上位じゃないとアカンかった!グシャったらクビになっちゃう!

「そうだったわね!忘れてたわ」

いや~しまったしまった。うっかりアニスにヒモを与える所だった。
やっぱり男は甲斐性あってナンボよね!

「エリーゼ様どうぞ」

出されたのは紅茶です。本当は冷えたお水が良かったけど、折角アニスが用意してくれたんだから口つけないとね。
……あ……レモンの香りが少しする……

「アニスも少し落ち着いて飲んだら?」

「よろしいのですか?」

「少し休んでからでも大丈夫よ。ああ……カワイコちゃん達の分のお水も足しておいて頂戴」

「はいっ!」

ユキ・リコ・ヒナは共同のお皿で、タマトラとピカ太郎はピッチャーとカップを置いておけば好きな時に飲む。唯一例外はスラ道で、スラ道だけは魔法で水球を出して吸収する。
手早く用意するとアニスは自分のカップを持ってソファの対面席に座る。
マッタリした時間は貴重だ。
明日からは開拓地に行かなくても良くなって、せいぜい種や苗をトールお兄様に託す位になった。
まあ、温室の作業とか盗難防止の魔法とか炭酸水の補充位しか行く理由が無いだろうなぁ……

「エリーゼ様、難しいお顔になってますよ」

「あー……うん。これで開拓地に行く事も少なくなるかな~って」

「そうですね。でも移民があちらに移る日は行って見守りたいですよね」

「そうね……」

広い農地にスーパー銭湯に林立する温室……何もかもが目新しいかも。

「神社……お社もあんなに大きくて立派だからお祭りとかもちゃんとやらないと……ファ……」

生アクビ出ちゃった……疲れてんなぁ……

「申し訳ありません!今すぐ湯浴みの準備をしてきますね!」

「いや……疲れたからアクビが出ただけで眠たい訳じゃないわよ。だから慌てないで」

そう言って紅茶の残り香を楽しむ。
しおりを挟む
感想 5,614

あなたにおすすめの小説

【短編】捨てられた公爵令嬢ですが今さら謝られても「もう遅い」

みねバイヤーン
恋愛
「すまなかった、ヤシュナ。この通りだ、どうか王都に戻って助けてくれないか」 ザイード第一王子が、婚約破棄して捨てた公爵家令嬢ヤシュナに深々と頭を垂れた。 「お断りします。あなた方が私に対して行った数々の仕打ち、決して許すことはありません。今さら謝ったところで、もう遅い。ばーーーーーか」 王家と四大公爵の子女は、王国を守る御神体を毎日清める義務がある。ところが聖女ベルが現れたときから、朝の清めはヤシュナと弟のカルルクのみが行なっている。務めを果たさず、自分を使い潰す気の王家にヤシュナは切れた。王家に対するざまぁの準備は着々と進んでいる。

離縁を告げに

豆狸
恋愛
「バーレト子爵、ファティマを呼び捨てにするのは止めてくれないか」 「止めるのは君のほうだろう。ファティマは私の妻だ。妻を呼び捨てにしてなにが悪い」 「……ヒカルド様? 私達は二年前に離縁していますが」 なろう様でも公開中です。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました

ララ
恋愛
3話完結です。 大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。 それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。 そこで見たのはまさにゲームの世界。 主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。 そしてゲームは終盤へ。 最後のイベントといえば断罪。 悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。 でもおかしいじゃない? このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。 ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。 納得いかない。 それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

悪役令嬢は毒を食べた。

桜夢 柚枝*さくらむ ゆえ
恋愛
婚約者が本当に好きだった 悪役令嬢のその後

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。