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新天地を! 194

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「良かったのか?」

近づけばそう言ってくるけど良いに決まってるじゃない。ダメだったら来ないわよ。

「普通のハイボールになってるわね」

「また抜かれたら勿体ないだろ」

そう言って困ったように笑う。

「またお酒に逃げてヒドい酔っ払いになったら容赦なく抜くから。勿体ないとか思わないわよ、お酒は楽しい内が一番なんだから」

「そうか……名言だな、楽しい内が一番ってのは」

あれ?名言なのかな?でも、お酒は飲み過ぎてもダメだと思うのよね。

「飲み過ぎても楽しいお酒なら良いけど、ルークのは違うでしょ。寝ちゃうなら寝ない内にやめて部屋に行って飲めば良いと思うわ、キースがいるんだからゆっくり飲めるでしょ?」

ギリギリの所でも付き合ってくれるのが側近とか専属侍女の存在なんだもの。

「そうか……そうだな。こんな所で酔い潰れたらみっともないな。これから気を付けるよ」

「えーと……そうね。気を付けてね、お父様も酔い潰れてお母様に滅茶苦茶怒られたみたいだから……怒ったお母様は怖いわよ」

「え……」

あからさまにルークの顔色が悪くなる。

「どんな感じになるんだ……?」

ちょっとだけ首を傾げて、王宮でちょっとオコだった時のお母様を思い出す。

「そうね……ちょっとオコでお父様にゼロ距離で脇腹全力グーパンチが出てお父様が膝を着いたわ」

「なっ……侯爵は鍛え上げてるのにかっ……」

目を見開いて恐る恐るお母様の方をチラリと見るけど止めた方が良いわよ。
お母様、ビックリする程勘が鋭いから。
って私もソロ~リとお母様を見てヒエッ!てなりました。
ニヤ~リと真っ黒い笑みを浮かべたお母様が怖すぎる!

「ヒッ!……おい……こっちの会話って聞こえて無いよな……?」

「分からないわよ……お母様、私が言葉を発する前に知ってたかの様な事仰ったりするから……」

ホント、マジでね……エスパーだよ!とか言いたい位よ。

「オッカネェ……」

「だからね、あんまり失礼な事考えるだけでもヤバイかもなのよ」

「分かった。気を付けるよ……淑女仮面でワンパンウー……いや、ここで止めるのが正しいのか……」

「そうね。止めてハイボールを飲んで大人しく部屋に戻るのが吉よ」

「そうだな」

ルークはそう言うとコッコッコッ……とハイボールを気持ち良く飲んでいく。
再びお母様を見たら悪戯っ子みたいな笑顔で私達を見てた。
うん、さすがお母様です。
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