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新天地を! 164

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「あー……綾華どうなってるかな……」

「綾華?」

ルークが女の名前言った!けど……何か顔がションボリしてる。

「ん?ああ、どこに出しても恥ずかしい妹の名前だよ。綾華もエビアボガドサラダが好きだったからな」

「そうなんだ……」

妹……良かった。彼女とかの名前だったらギリギリしちゃう!嫉妬で!

「寿司でもエビ・エビ・マグロ・エビ・トロ・トロとか訳の分からない呪文のように食べてたな……ウッカリ普通の寿司屋に行って血の気が引いた覚えがある」

「お寿司屋……懐かしいわ。私も祖父が生きてた時は年に一・二回東京に連れて行って貰ってお寿司屋さんで大将のおすすめ食べたなぁ……」

「へぇ?どこの寿司屋に連れて行って貰ってたんだ?」

「久兵衛ってトコ」

「はぁっ!?」

あれ?何で驚いてるの?

「何かおかしかった……?」

「いや……高級寿司店だぞ……」

「?祖父は元々東京の人で実家は凄かったらしくて……お寿司はここだって言われて……何食べても美味しかったから……そう……高級寿司店……」

そう言えば祖父との東京でのご飯はいつでも高級店ばっかりだった気がする。

「凄いお祖父さんだったんだな」

「えっ?ええ……祖母と駆け落ち同然で田舎に来たけど、祖母もお嬢様でドレスとかアクセサリーとか……」

ガチのお嬢様だった!祖父だって株券やら何やら凄かったの忘れてた!財テクの何たるかは祖父に教えられて……そんな事も忘れてたわ!

「なぁ……それって華族とかのレベルじゃ……」

「えっ?あっ!うん、そう。良く分かったわね」

「そうなんだ……」

えー……何で凹んでるの?

「でも、そんなの今は関係無いし時代錯誤じゃない?私には優しい祖父と祖母だったわ……憧れでもあったけど……」

「憧れ?」

「ええ。体調の良い日とか離れのダンスホールで踊ったりしてたの。祖母はドレスとか着て、祖父もタキシード着てワルツを踊るの。祖母が入院するまで良く……」

思い出したら涙が……

「私もあんな風にいつまでも仲良く一緒に踊って欲しい……本当に仲が良かったの……」

「そうか……俺もエリーゼとずっと一緒に生きてたいと思ってる」

「……ありがと……」

少しだけ笑う。
焼き肉丼手に持って言うセリフじゃないと思う。
しかも二人揃って食べかけなんだもん。
尤も後少しで完食なんだけどね。

「冷めちゃうよ」

「そうだな、食べないとな」

そう言って二人して食べきってしまう。
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