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新天地を! 156

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「エリーゼ、いきなり姿が見えなくて慌てたよ。どうしたんだい?」

トールお兄様が心配そうな顔で聞いてくる。
あれ?ひょっとして、私がはぐれたの?

「心配した……」

「え?あー……ゴメンナサイ」

チラリとカワイコちゃん達を見てみるが、こっちは心配してない。

「きになったところみてたにゃ!あっちこっち、おもしろかったにゃ!」

「あら、そうなのね。もう見なくて良いの?」

「じゅうぶんにゃ!」

タマの言葉にカワイコちゃん達はウンウンと頷いてる。
どうやらトールお兄様達とは別行動だったみたいだけど、同じタイミングで山を登って来たみたい。
……ノエルはルークの武装の端っこを握ってるし、ルチルはルークの肩に立って頭に抱き付いてる。
何、このパパ感(笑)ルチルは小さいから肩だけど、これが子供だったら肩車に違いないわ。
ノエルとルチルでこれなら、もし子供が出来たら極甘のパパが出来上がりそう。

「ふふっ……」

「ん?エリーゼ、ルークを見てどうした?」

トールお兄様がすぐに気付いて聞いてくる。

「ルークの姿に父親になってもあんまり変わらないんだろうなって思ってつい……」

「ああ、なる程。父上と良い勝負だろうな」

「え?お父様、あんな感じだったの?」

ついつい聞いちゃう。だって私の小さい頃のお話なんて、聞いた事無いんですもの!

「まぁね。凄かったよ……父上と兄上でエリーゼの取り合いでさ……それで良く母上が怒ってた。勿論、エリーゼの見えない所でだけどね」

うわぁ……何となく想像つく。
キャスバルお兄様は今でもアレだし、お父様だって……

「小さい頃のエリーゼは本当、可愛くてね。そりゃあもう、邸中誰も彼もエリーゼが可愛くて仕方ないって見てたしね……」

ちょっと……照れるからトールお兄様止めて……

「見たかったです」

「そうだね、家族で何枚か描かせた物はあるが何故か飾ってないんだ……」

ん?んー……たしかにうっすらと描いて貰った記憶はあるけど、どうして飾ってないんだろう?

「お聞きしても?」

「簡単だよ。父上と兄上が大反対して飾ってないんだよ。二人して秘蔵してるんだよ、おかげで俺ですら見れない」

うわぁ……お父様もキャスバルお兄様もとんでもないです……お母様は何にも出来なかったの?

「後、母上もだけど母上は実家に送っちゃったらしくてね。見たかったらシルヴァニア本家まで行かなくちゃいけないらしいよ」

「シルヴァニア本家って……シルヴァニア公爵邸って事ですか?」

「うん!そう」

スッゴい笑顔ですけど、シルヴァニア公爵邸ってマチュピチュ的な山の天辺にあるって言うお邸でしょ。
お母様まで勘弁して!
ルークの顔が絶望を表しちゃったじゃないの!もう!
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