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新天地を! 108

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そして食堂に入ればトールお兄様がブルーなお顔で座ってました。

「あら?トールお兄様、どうなさったの?」

私を見て顔が歪みました。あれ?これは……

「知らない内に俺が開拓地の総責任者になってたんだ……エリーゼ、何か知ってるかい?」

「そうだったんですね。良く分かりませんが、いずれトールお兄様はキャスバルお兄様の補佐を務めるのですから良いのでは?」

ハァ……と大きな溜息をついたトールお兄様は片手で前髪をかき上げる。……何、その疲れた男の色気を出してみました!みたいなポーズ。

「エリーゼじゃないのか……」

「私が何かすると?」

静かに移動して自分の席に座る。そんなのお父様が決める事だし、私は何にも言って……何にも?
って、お母様に言った!トールお兄様に任せれば良いじゃん的な事言ったわ!

「ん?急に顔色が変わったけど?」

トールお兄様が突っこんで来た!

「え……ええーと……お母様にちょっと一言言ったような……」

「そんなの母上に言ったら決まるに決まってるじゃないか!」

トールお兄様がおこです。

「仕方ないな……父上と母上は仲が良いんだ、だが……まぁ開拓地の総責任者としては順調だし、あの程度の町を管理出来ないと兄貴の補佐は務まらないからな」

良かった……おこだったけど、すぐに治ったわ。

「トールお兄様なら出来ますわ!」

目の前に紅茶が出され、その香りに誘われるように口をつける。
そうこうしてる内に家族全員揃い食事が始まる。
話題は裏庭に出来たスーパー銭湯の事と、開拓地が順調だと言う事。
裏庭のスーパー銭湯の名称を聞かれて特に考えて無いと答えたらお母様が勿体ないと言い出して困ったけど本当の事なのでちょっと笑うしかなかった。
まぁ、お母様が何か良い名称を付けてくれるでしょう。
何か皆喋ってるけど……何か……上手く耳に入って来ない……

「ふぁ……」

思わず出たアクビの驚く。え?ひょっとして私結構疲れてるの?

「あら……頑張り過ぎて疲れたの?」

「あ……お母様、申し訳ありません。疲れてるつもりは無いのですが……」

お母様が心配気に見てるけど、何でアクビが出たのかも……いや、本当に疲れてるのかしら?

「可愛らしいバラの化身が眠たそうにしてる姿はいつもより可愛くて困ってしまうな」

うん、キャスバルお兄様のその歯が浮いてプカプカしてるセリフは聞いてる私が困ります。
とにかくキャスバルお兄様の言葉はサラッと無視しときましょう。
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