上 下
624 / 1,402
連載

新天地を! 41

しおりを挟む
それからスープを食べたりソテーを食べたりしてお昼ご飯を楽しんでいた所。

「またせたにゃ~!」

「おなかペコペコにゃ~!」

トラジとタマがトテトテと歩いて来ました。私とアニスはタマトラ分のイクラ丼を手に取り、二匹の前に行きます。

「お疲れ様、じゃあイクラ丼食べよっか?」

「はいにゃ!」

タマが嬉しそうに両前足を伸ばして来ましたが、それはスルーです。イクラ丼を手渡さない私を見上げるタマはキョトンです。
イクラ丼をスプーンで軽く掬い、タマの口元に持って行きます。

「タマ、あーん」

「にゃあーん」

パカッとお口を開けたタマにスプーンをサッと入れると、そのままパクっとお口を閉じるタマ。クイッとスプーンを取り出すとモニュモニュと口を動かし、目を細め味わうタマ。

「んまんまにゃ……」

口の中にイクラ丼入ってるからかくぐもった声だけどメチャ可愛いです!ゴクッて音が聞こえたから飲み込んだのね……と思って見てたら、目をまん丸くして尻尾をピーンとさせてます。

「おいしいにゃ!きのうのよりずっとおいしいにゃ!」

「良かった!」

チラッと見たアニスとトラジも一口目を食べ終わった様なので……

「アニス、交代よ!」

「はい!エリーゼ様!」

お互い手にしているイクラ丼を取り替え、場所も替わる。今度は私がトラジの前です。

「トラジ、あーん」

「ぅにゃーん!」

パッカーと大きく口を開けたトラジの口の中にスプーンで掬ったイクラ丼を差し入れる。ハムン!と閉じた口からスプーンをさっきと同じ様に抜く。

「ぅまぅまにゃ……ぅまぅまにゃ……」

何!何なのこのトラジの可愛さ!顔を上げて、おヒゲをピンとさせて両前足をピコピコさせながら目を閉じて堪能するトラジ。

「んにゃ……」

ゴクリと嚥下するとバッと目を開ける。目を丸くして再び口を開ける。あれ?これは催促かな?

「はい」

再び掬って食べさせる。フフッ可愛いなぁ……あちこちから「ズルイ……」とか「何たる可愛さ……」とか「羨ましい……」とか聞こえましたが全力スルーです!

「ズルイにゃ!トラジ、ズルイにゃ!ボクもにかいめご主人にたべさせてほしいにゃ!」

タマが叫んだので私とアニスは顔を見合わせてクスクス笑いながらピッタリ隣り合う。

「これだけ近ければ移動しなくても順番に食べさせれるわよね?」

ヒョイヒョイと丼とスプーンを交換させながらタマトラにイクラ丼を食べさせました。イクラ丼一杯はあっという間になくなりました。
可愛いあーんを堪能した後、自分達のイクラ丼を食べました。
しおりを挟む
感想 5,614

あなたにおすすめの小説

【短編】捨てられた公爵令嬢ですが今さら謝られても「もう遅い」

みねバイヤーン
恋愛
「すまなかった、ヤシュナ。この通りだ、どうか王都に戻って助けてくれないか」 ザイード第一王子が、婚約破棄して捨てた公爵家令嬢ヤシュナに深々と頭を垂れた。 「お断りします。あなた方が私に対して行った数々の仕打ち、決して許すことはありません。今さら謝ったところで、もう遅い。ばーーーーーか」 王家と四大公爵の子女は、王国を守る御神体を毎日清める義務がある。ところが聖女ベルが現れたときから、朝の清めはヤシュナと弟のカルルクのみが行なっている。務めを果たさず、自分を使い潰す気の王家にヤシュナは切れた。王家に対するざまぁの準備は着々と進んでいる。

離縁を告げに

豆狸
恋愛
「バーレト子爵、ファティマを呼び捨てにするのは止めてくれないか」 「止めるのは君のほうだろう。ファティマは私の妻だ。妻を呼び捨てにしてなにが悪い」 「……ヒカルド様? 私達は二年前に離縁していますが」 なろう様でも公開中です。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

酒の席での戯言ですのよ。

ぽんぽこ狸
恋愛
 成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。  何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。  そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました

ララ
恋愛
3話完結です。 大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。 それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。 そこで見たのはまさにゲームの世界。 主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。 そしてゲームは終盤へ。 最後のイベントといえば断罪。 悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。 でもおかしいじゃない? このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。 ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。 納得いかない。 それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。