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新しい日々 72

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そんなに就職先無かったのなら、うちに来たら驚くわよね?だっていつでも仕事があるんですもの。

「王都が苦しいならどんどんうちに来たら良いわ」

王家は苦しくなるだろうけど、王太子派や第二王子派の貴族家が協力して盛り立てれば何とかなる筈だもの。あの貴族家の筆頭はどちらも王都の隣が領地だし、どっちも公爵家だから共倒れも無いわよね?でも冬だからって王都民を見捨てる様な真似するかしら?うーん……でも自領が大事って言えば大事だろうし……

「他の貴族家の事は良く分からないわね……多少の情報は入っても、細かい事までも報告が上がって来ないと調べるのも失礼をだし……」

「エリーゼ様?」

思わず溜息が出てしまう。

「今まで王子妃教育の一環として各貴族家の事を勉強してはいたけど、豊作か凶作かなんて年毎の情報は疎かにしてたなぁって……税収があれば良しでは無いのに、そこら辺は私にとって重要では無いと切り捨ててたわ。主に外交や辺境地区に当たる貴族家を中心に纏めあげる様に動いていたのが仇になったわ。もう少し王都寄りの貴族家も調べておけば良かったわ……」

「エリーゼ様、難しいです……」

アニスが凹んでしまった。しまったな……

「ああ……いえね、王都民が大変なのに隣領にあたるロア公爵家やヴァン公爵家が動かないってどうしてかしら?って思って。大体、それ以外に隣接してる領地も侯爵家ばかり、どうして助けないのかしら?ってね」

本当、領地抱えてるにしても多少は助けたって良いと思うのよね。

「確か……王都民で親戚がいるような人達はそちらに身を寄せるとか何とかって噂がありました……」

「ああ……そうか……何代にも渡って王都に住んでたら親戚も何も分からなくなるのかしら?それとも、思いのほか人数がのして対応しきれなくなったとか?」

あり得るか……小さな集落にいきなり幾つもの家族が来られても厳しくなる季節に家も間借りさせるのが精一杯だし、それこそ食べ物だって自分達の家族分しか用意出来なかった……

「……食料……余分が無ければ受け入れたくても受け入れれない……」

そうだ……日頃から余剰分をある程度備蓄してなければ、非常時や他の集落から来た避難者達に分け与えれない。
ゾクリと背中に冷たいモノが走る。
うちはどの集落でも備蓄してる。それは大型に襲われたりして集落を捨てなければならない事もあるからだ。でも普段から何も無ければ?我が領では当たり前の事だけど、他領は?当たり前の事がちがうだけで対応が変わってしまう。
私はその事に今、気がついた。
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