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新しい年 23

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「さて、お昼ご飯までもう少し時間があるし手紙読んでいきましょうか」

「はい」

執務机の上を見て気持ちを奮い立たせる。
まずは位の一番高い寄子貴族(旧貴族含む)の令嬢達からの手紙をチョイス。
薄く四角い羊皮紙は高級品な訳で、それなりにお金持ちでないと手紙は出せない。
いや、物によってはそれなりに安い物もあるけど、皮の厚さとか手触りとかが違うのだけどね。

「アニス、地図と記録を」

どこの領地とか誰とかちゃんと記録したり、領内のどことかは大切なのです。
寄子貴族と言っても、うちでは自治体的な扱いなので分かりませんじゃ済まないのです。
古参の貴族は街長とかになってます。勿論、家族で若い男性は領主隊に入ってる方が殆どです。
公国時代の貴族名鑑は今でも残っていて、毎年更新されてます。
彼等は今でも我が家に忠誠を誓ってくれてるのです。
だからこそ私の事を『姫様』と言って憚らないのですけどね。
領地と名前を告げて領地を確認する。
書かれた情報を簡潔に纏めアニスに書き込んで貰う。
午後のお茶会にでもお母様と情報を擦り合わせる、言わばホウ・レン・ソウです。
ふう……とりあえず不作でも無いみたいだし、大型からの襲撃も無く例年通りですよ……な内容が一枚目。
二枚目は私に会える事が出来たら!みたいな……ハッキリ言うとファンレターに近いのかしら?
あえて言うと学園時代、同級生の令嬢達に言われてた言葉が書かれてました。
女子校ってきっとこんな感じなのよね?って思ってた。
懐かしいわー……ん、待てよ。そういや、ヒルダは私の事『お姉様』って呼びたいって言って許可したんだっけ……
義理のお姉様になるヒルダから『お姉様』って言われるのか、ナンダカナー面白いけど。

「ふふっ……」

「どうなさいましたか?」

「何でもないわ、少しヒルダの事を思い出しただけよ。さ、次に行きましょうか」

ちょっとだけムッとしたけど、多分アレね焼き餅ね。

「一番の特別な女の子はアニスだけよ」

チラッと横目で確認すればメッチャ良い笑顔でした。
本当、可愛いわね。
そんな事務作業を一時間程やりました。お昼時になりました。
時間の流れが早いです……
グーッと背伸びをして肩を回すように動かして解す。

「お茶、淹れますか?」

「いえ、それよりも食堂に行くわ。パンケーキを頼んだし、お茶も一緒に頂くから。今日は黒砂糖から作った黒蜜で頂くから楽しみだわってジムにバニラアイス渡すの忘れてたわ!大急ぎで行くわよ!お母様やお祖母さまが先に行ってたら不味いわよ!」

「はいっ!」

こうして私とアニスはバタバタと食堂もとい厨房目指して早歩きです!
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