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新しい年 17

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「お母様もお祖母さまもこちらは冷たい甘味ですので溶ける前に食べて下さいませ」

スプーンを手に取り白桃を一口大に切る。
只でさえ柔らかい白桃はシロップ漬けにした事で更に甘く柔らかくなっている。
力を入れなくても切れていく白桃に思わず口の端が上がってしまう。
切れたら次はバニラアイスを少し掬って……白桃を乗せる。
落とさないように優雅に手早く口に運ぶ。
口の中広がる白桃の香り、混じるバニラの香りとホワイトチョコレートの香り。
渾然一体となって心が桃源郷に迷い込んだよう!

「ん~~!何て素敵なの!」

お母様の幸せそうな叫びが出ました!

「この白い桃は何て柔らかいのかしら……」

お祖母さまは白桃の柔らかさに驚いてました。

「…………ん?あらあらあら?何て甘くて美味しいのかしら!生まれて初めてだわ!」

白桃を食べたお祖母さまが驚いてます。
いえ、ちゃんと認識して食べたのが今日初めてだからですね。
小さく切っちゃうと何だか分からなくなりますもんね。
やっぱり半割だと桃!って感じしますもんね。

「ねぇ、エリーゼ。この白い桃は増やすのかしら?」

「勿論です。徐々に増やしていずれは主力にしたいですね。今植わってる黄色い桃が悪い訳ではないのです、ただこちらの白い桃は生食用として広めたいのです。黄色い桃は乾燥させてる物が多いですよね……」

「それなのだけど、コレみたいに半割にして漬けた物はどうなのかしら?」

お母様ったら!前世にも黄桃の缶詰があったんですもの、大丈夫に決まってます!

「良いですね!そうですね、瓶詰めの物であれば持ちますしね。先に砂糖の生産が整わなければシロップ漬けは無理ですけど」

お母様もお祖母さまも実に優雅に食べ進めてます。
それにしても甘い中にイチゴの酸味が良いです!
後、冷えた喉にあったかい紅茶も良い!

「そうね。砂糖の生産が出来たら桃のシロップ漬けを作りましょうね」

嬉しそうですね!お母様が嬉しそうだと私も嬉しいです!

「はい!楽しみですね、年追う毎にシロップ漬けが増えていけば多くの方も喜ぶでしょうね」

あれ?ピタッとお母様の手が止まりましたよ。
チラッと見られましたが何かあったかしら?

「ねぇ、エリーゼ……この白い桃のシロップ漬けだけど帝国皇帝に贈ったら駄目かしら?」

「ん?別に構いませんよ。えーと……帝国皇帝ってルークの……」

「お祖父様にあたるわね」

へー……お祖父さま……

「でも、どうやって贈るのですか?」

まずはソコよ!お母様。
重量有りますよ。それに剥き出しで贈るとかあり得ないですし。
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