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元日! 44

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エメラルドグリーンの宝石が付いたピンが髪に差し込まれる。
鏡が無いのが残念。

「さ!どうですか?」

アニスは手鏡を手渡してくれた。
有難い!これで自分でチェック出来るわ!
チラチラと動かしながらチェックして見る。

「ええ。素敵だわ」

ドレスの色や髪の色で冷たい印象なのに、赤いお飾りがまるで炎のように煌めいてる。
そこにポイントのように点々と刺されたエメラルドグリーンのピンが何か特別な意味があるのだと知らしめているようで素敵な仕上がりになってる。

「ありがとうアニス。とても素敵だわ」

「勿論です!エリーゼ様を飾るのは私の大切な仕事の一つですから!」

……そんなになのね……

「本当に美しい……抱き締めてしまいそうだよ。今、そんね事したら怒られるからしないけど」

ルークの瞳が熱い。

「抱き締められたい気持ちはあるけど、さすがに夜会の前は困るわ。皆の前に出る前ですもの……挨拶しなければならないのよ、私もルークも」

そう。半年を切った私とルークの婚姻式は大々的にここで行われる。
その挨拶を皆の前で行い、宣言しなければならない。
領地から出ず、留まるのだ。
先行きは不透明な部分はあるけど、暫くはここでのんびり……のんびりかしら?暮らすのだから。
それにしても……

「格好いい……さすが攻略対象様……」

乙女ゲーの威力って凄いわ……どんだけモテ要素ブチ込んだのか……
いつもの格好だって格好いいし、お着物着ても格好良かった。
ちょっと俺様風な見た目なのに全然俺様じゃなくて、どっちかって言うとクール系?可愛い所もあるしイクメンっぽい所もあるし。
空気も読めてる所もあるし、育ちの良さが所々の所作に出てるし……だからこそ婿入りがあっさり許されたのかな?
でも婚姻式ってルークのお父様達もいらっしゃるのよね?
仲良く出来るかしら?
いえ、不安に思うだけ無駄だわ。
だって私に相手の気持ちが分かる訳が無いもの。
考えがある程度理解出来れば御の字でしょ。
今はルークの手を取って前を向いて生きるのが先決だわ。
うじうじしても始まらないわ!今年は気合い入れていかないと!

「さっきから顔がおけしげな事になってるぞ」

「失礼ね!ルークったら!これからの事、考えたら笑顔を貼り付けてられないでしょ」

「そうだな。忙しい一年になるな」

ルークめ!呑気だな!

「分かってるの?ルークだってお父様やお兄様達の仕事を手伝いつつ、側近を選んで側近との連携とかの訓練して!その後討伐に出るのよ」

私の言葉に目がキラーン!と光った気がした。

「討伐……だと?」

アレ?しくった?
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