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元日! 17

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「どんなお願いごとしたんだ?」

ルークが隣にやって来て、耳元でヒソヒソと囁く。

「もぅ……擽ったいわ。お願いごとは神様だけが知ってれば良い事よ」

お社でお参りするカワイコちゃん達を見ながら答える。

「でも、ここは神社じゃないだろ?本当はさ」

「そうね。でも心の有り様って大事じゃない?たとえ神様がいなくても大切にしていた習慣を忘れ去るのは嫌なの」

「……そうか。そうだな……」

視線を彷徨わせ、ルークの手を見つける。
手を伸ばしてキュと握る。
やんわりと離され、え?と思う。
でも、直ぐに指が絡んで繋がれた手。
大きくて温かいルークの手。
見上げたルークの顔は少しだけ赤くなってた。
きっと私の顔も赤い。

「おまいりしたにゃー!」

走って来るトラジとノエル。その後のピカ太郎とルチル。
その後でトコトコと歩いてくるユキとリコとヒナ。

「さて、邸に戻ってお雑煮頂きましょう。お屠蘇代わりのお酒も燗付けして、ね♡」

「それは良いな」

声から嬉しさが滲んでます。

「じゃあ邸に戻るわよ」

「「はいにゃ!」」

繋がれた手が引かれ歩き出す。キャイキャイと後を付いてくるカワイコちゃん達。

「あ、あの池にちょっと寄っても良いかしら?」

キラキラ輝く水面に誘われてるようでソワソワする。
何でかしら?
近づいて何でそんな風に思うのか不思議だった。

「そうだな。水底……水晶か何か撒いてるのか?何か……」

「そうね……不思議よね。とりあえず感謝しておくべきかしら?……いつもありがとうございます」

手を合わせて意識を集中して……顔を下げた。

ばよえーん!

「え?」

「は?」

何だか聞いた事あるような無いような音?声?が聞こえた気がして顔を上げる。
水面の上に浮かぶ滴の形のスライム?

「ヤベェ……ボク、悪いスライムじゃないよって言うのか?」

思わずグリンッと顔をルークに向けると同時にパァンッ!と肩口を叩いてツッコむ。
よりによって、そのセリフをチョイスするとか!
いや、その前に「ばよえーん!」ってスライムじゃないよね?

「ボク、スライムじゃないよ」

悪いが抜けてる!

「そう……スライムじゃないのね。で、何かしら?」

水面の上でクルクルと回転し、ポヨンポヨンと水面の上を跳ねて近づいて来た。
正月早々、いったい何のイベントよ……

「ボクは水の精霊。キミの祈りで生まれたんだよ!」

何だとぉ!私、祈ってないよね!意識は集中してたけど!感謝はしたけども!
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