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大晦日 43

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「お祖父様とお祖母様は愛し合ってるのだな……」

小さな呟きが落ちて来る。
キャスバルお兄様が温かい眼差しでお祖父さまとお祖母さまを見つめてる。
何だか話してる内容はアレだけど、平和な気がする。
それにしても、お酒から独立まで幅広いのに落ち着いてらっしゃる。

「あ!そうだ!年明けて少し暖かくなったら開墾して一大農地作らないと!」

思い付きです。
思い付きでパッと言ったら、サロン中が静まり返りました。なして?

「エリーゼ。一大農地を作るとは?」

キャスバルお兄様がニッコリ笑顔で聞いてきました。
私も笑顔で顔を上げてお返事です。

「イチゴを作ったり、お米を作ったり色々なさるでしょう?お酒の原料はお米ですわよ」

正確には酒米なんだけど、酒米は島で既に作ってるからそれを流用して作ろう。一番最初だからね!
いや、イチゴもだけど!イチゴに限らず他の美味しいやつも!引っ張ってこよう!

「そうか。何処に作るつもりなんだ?」

キャスバルお兄様が真剣です!真剣な顔で聞いてきましたよ!

「んー……」

脳内地図ではなく、マップを広げて見る。
領都や既にくっついてる港街側は桃園と麦畑とそれ以外の畑が広がってるので無理。家の裏に広がってる所にするか。平地かそれに近い所は畑にして、斜面は田んぼかな?いや……斜面の下、海に近い方にお米。上の方にイチゴを作るか……石垣使って……ただ温度か……何か仕込むか温室を作るか……

「うーん……家の敷地の向こうは手つかずなんでそちらに作ろうかと……行き来もし易くなるように道も整備して、休憩等がし易い建物を作って……ってダメかしら?」

マップから目を離してキャスバルお兄様を見る。
「ふむ……」と呟きながら、思案顔もイケメンですね。

「確かにあの辺りなら手つかずだから農地を作るのに適してるな。魔物除けを施せば十分に使えるな。……どれ位広げるつもりだ?」

どれ位かぁ……将来的な事も加味して広く取ろう!

「そうですね、領都の半分と同じ位広ければ農家が住み始めるかしら?」

思い付きって怖いですね。

「ならば新しい農家が住めるように小さな町も作ってしまうか?」

お父様よ……簡単に言いましたね。

「でも農家の方々も大変なんじゃ……」

「それは大丈夫だろ?エリーゼの料理を教えた料理人が店とか出せば」

ぬ?トールお兄様よ……

「それは良いな!」

お父様が嬉しそうな顔でいいましたよ!
何、良い事聞いた!みたいに言ってんのよ!(笑)
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