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大晦日 42

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私には分からないお二人の歴史があるのね……見た目、美女と野獣的なビジュアルなのだけど。

「エリーゼ。私はね、シュバルツバルト家はいつ何時好きな時に独立しても良いとずっと思ってました」

お祖母さまが気持ち良くゲロってます!

「だって、王国に尽くしても王家は私達貴族を蔑ろにしてると感じるのですもの」

おっ?どうした?いつになく饒舌ですね!?
……って、お母様!お祖母さまの紅茶のカップに杏露酒注いでるやん!
お祖母さま、まさか酔ってる?

「娘自分の頃から思ってたのよ!」

おっ?おっ!どうした!お祖母さま!

「大体ね!王家は昔っから私達の扱いが軽いんですのよ!」

「アナスタシア、どうした?……って酒……」

いきり立つお祖母さまに慌てて注目するお祖父さま……が、目をひん剥きました。
そのままグリンッ!とお母様を見ましたわよ!ピンチです!

「ホホホ!お義母様も一度位思ってる事をお口にするべきたわ」

オーウ!お母様、荒っぽいデース!

「アナ……気分は悪くないか?大丈夫か?」

あれ?お祖父さまがオロオロしだしましたよ。

「大丈夫ですわよ!マクスウェル!貴方だってそう思いません事!シュバルツバルト家は王家に負けぬのだと!私は……私は情け無い王家より貴方を王といただき支えたかったわ……」

ハラハラと涙を零しだしたお祖母さまを無言で見つめてしまう。
そうか……

「そうね。もしお祖父さまが王だったら、お祖母さまはもっと笑顔だったかしら……」

「エリーゼ、心の声が漏れてる」

「えっ!?」

ルークからのやんわりとしたツッコミにシマッタ!?と思いながらも、まぁ良いかと開き直る。
何か……何年もしない内に独立しちゃいそうだな。
……後、二時間で日付が変わるかぁ……

「アナスタシア、そんなに泣いたら目が溶けてしまうぞ。儂はお前だけの王であれば良い。な、儂をずっと支えてくれ」

……聞いてるこっちが照れる!見てみなさいよ!お祖母さまもお顔が真っ赤よ!

「ハインリッヒ様、私たちもあんな風に言われたいわ……」

お母様の小さな囁きがうっかり耳に入ったけど、リコを撫でながら「ぬ?」とか言った瞬間にお母様が何かを指で弾いたわ!
はい!ドライフルーツがお父様の額にヒット、首が仰け反りました。
この間、数秒。サッと見回した所、誰も気付いてません。
お父様も甘い言葉の一つや二つ囁けば良いのにね。
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