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大晦日 26

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チョコレートはまだ発展途上どからなぁ……でも、いつかは上等なチョコレートを作り出す!チビナビちゃん達が!私では限界が見えたから、ダメでござる!
でも、オレンジの輪切りのドライフルーツは甘酸っぱくてチョコレートとは相性良い筈なんだけどなぁ……
口の中は剣先と日本酒で出来上がってる。
仕方ない。冷めた紅茶を一口口に含み、日本酒と剣先の後味を飛ばす。
オレンジ&チョコを一つ手に取り齧る。
甘酸っぱいオレンジの香りが口中に広がる。そしてチョコレートも体温で溶けてオレンジの香りと混ざり合う。

「うん。美味しい……」

大人なビタースイートだけど、お母様好みじゃないな。
ハフ……と息を吐いて、ソファに深く沈むように体を預ける。
何て幸せなんだろう……お祖父さまにお祖母さま、お父様にお母様……キャスバルお兄様にトールお兄様……大好きなルーク。それに可愛い家族同然のカワイコちゃん達。
夢のようだわ……前世欲しかった全てがここにある。
不意に手が取られる。

「何?」

ルークが優しい目で見つめてくる。

「どこか遠くに行ってしまいそうで……」

「行かないわよ。私はここにいるでしょ?」

そのまま指先に口付けられ、やっぱり皇子様は違うわね……何て思った。

「ああ、そうだ。俺もエリーゼもここにいる。だから遠く……遙か遠くの事に囚われるな」

あーあ……ルークは察しが良いなぁ……きっと地頭が良いんだろうな、それだけじゃなくて気遣いも出来るし……
前世モテたんだろうな。育ちの良さってのが出ちゃってるもの。

「そこは、大丈夫よ。私ね、家族全員集まるっての夢だったの。ホラ、中々集まらないでしょ?皆、元気でこんな風に楽しくって夢みたいじゃない?」

ルークはフッと周りを見回す。

「そうだな。俺もよくよく思い返せば家族全員集まるなんて、新年とか何か無い限りあり得なかったな……今も昔も……」

最後の一言は小さな……私にしか聞こえない程の声だった。

「そうなの?!帝国皇帝って孫でも中々会えない方なの?」

「そりゃあ、もう!ご高齢な皇帝陛下は夜会もあまりお出にならないからな!ただし新年の大夜会は全貴族が集まるから、その時はお出でになるんだ!……でも、それも後何回あるか……是非ともお元気な内にエリーゼを連れてお会いしたいものだが……」

「あら、婚姻式の後帝国に旅行したら良いじゃない。シルヴァニアにも寄って行って貰いたいしね!ね!ハインリッヒ、私達も行きたいと思わない?」

「ん?おお、そうだな。領地の事はキャスバルとトールに任せれば良いしな!久し振りにシルヴァニア山のお歴々に会いに行きたいな!」

新婚旅行先が決まりました。
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