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大晦日 18

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「恐ろしい方ですね、さすがシルヴァニア家の方だけある。貴女の中にはいったいどれ程のお考えがあるのか若輩者の私には分かりません」

ルークは皇子として考え発言してる。まるでここが王宮か何かの一室で繰り広げられる狐と狸の化かし合いのようだわ……

「フフッ……ホホホホホ!私が求めるのは帝国の安寧と繁栄!我が血族と私の家族の幸せと繁栄ですわ!」

……お母様の中には王国の事は含まれてない?

「そうですか。貴女はまごう事無きシルヴァニアの方だ……エリーゼ、シルヴァニアの……シルヴァニアの一族を支える女性達の気質は首尾一貫だ。夫人だけが特別なんじゃない、おおよそ血が濃ければ濃い程その傾向は強い。夫人はシルヴァニア公爵家令嬢だった方だ、その血は濃い。それ故、恐ろしいと私は思う。決して敵にしては成らぬと教えられてきた事ゆえ」

「……ですが……ですがルークは私の夫となる方です。ならばルーク、貴方はお母様の言う所の家族になるのですよ。お母様は私のお母様です、信じて下さい。お母様は私が泣くような事はなさいません」

シン……と部屋が静まり返った気がした。
何かが……風が吹いたかのようだった。強い風が吹いて、体が持って行かれたかと思ったらお母様にギュウギュウに抱き締められてた。
その力は強い筈なのに苦しくなかった。抱き締められ触れ合う部分からお母様の優しい気持ちを感じる……

「エリーゼ……私の可愛い娘……」

お母様に抱き締められ、私もお母様を抱き締め返した。
不思議……何故かしら?何となくだけどお母様の気持ちが分かる気がする。

「エリーゼ。シルヴァニア家の母娘や姉妹は互いの事が分かるそうだ。きっとエリーゼも夫人も同じように分かるのかな?」

ジンワリと指先から感じる何か……これはお母様の喜び?幸せ?不意にお母様の瞳と合う。

「そうよ……私は幸せよ」

バレテーラ!そっか……お母様たまにエスパーやん!とか思ってたけど、血のなせる技だったか。それじゃあ抗っても無駄だな!

「ま、私は変わりませんよっ!と。変えようもありませんしね!」

「エリーゼはそれで良いのよ、それでこそ私の娘。エリーゼ・フォン・シュバルツバルトなのよ」

そっか、お母様はお父様を選んだんだ。私がルークを選んだように。
クスクスとお母様と笑い合う。額を合わせ、何かを分かち合うように。
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