上 下
322 / 1,402
連載

年越し準備! 66

しおりを挟む
どれ位そうしてたのか分からない。
私が泣き止むまでずっと優しく撫でられていた。

「ありがと……」

「ちょっと分かる。訳もなく悲しくて涙が出て……子供の頃良く泣いたよ。」

「そうなんだ……」

「エリーゼは思い出してから、あんまり時間経ってないんだな。」

「うん。婚約破棄されてる途中で思い出したの……」

「それは……ギリギリなタイミングだったな……」

「そうなんだ……」

断罪される前だったし、あの残念王子に未練……未練無かったって言ったら嘘だもの……
恋じゃないけど、情はあったんだよね。多分。

「ひょっとして気持ち残ってる?」

「え?いや、全然。まぁ長い期間婚約者だったから多少は思う所はあったけど、恋とかはしてなかったし今思うとどうでも良かったのかも。」

こんな風にジリジリするような焦がれるような気持ちにもならなかったし、もっとずっと側にいたいとか触れていたいとか……

「あのね、ルーク。私、ルークにだったら何されても良いよ。」

ジッと目を見て告げる。
ジワジワとルークの顔が赤くなっていく。
あれ?私何かおかしな事言った?

「エリーゼ……今、そのセリフはヤバい。」

「え?……あ……あれ?そうなの?アニスにだって、まだ何しても良いとは言ってないし……」

ハッ!とした顔でまじまじと見られる。

「そう……なのか?」

「そうですよ。そりゃあ、まぁ……閨の事前知識としてある程度は教育されるし実技もある程度は出来るようにはなってるけど……令嬢として処女は守り通してますよ。」

何故に目をギラギラさせながらうんうんと聞いてるのか?

「良く分からないんだが……専属侍女の必要性を教えて欲しい。何で必要なんだ?シュバルツバルト領は側近ってのがあるけど、実はそれも理解しきれてないんだ……」

あれ?ここはきちんと説明するべきなの?てか、説明しないとな!

「専属侍女の事からの方が良いかな?」

「ああ、頼む。」

ルークはコロリと添い寝ポジションになりました。
ベッドにフットカバーあって今ほど良かったと思った事ない!

「どこの高位貴族の令嬢もとりあえず年の近い侍女を付けるんだけど、これは王族や公爵家や侯爵家に輿入れする事を想定しての事よ。ぶっちゃけると血統保持の為に夫以外の男を寄せ付けない為の手段よ。処女で嫁いだら、肉体関係持てる男は一人って事よ。裏返せば男でなければ良いって言う事なんだけど、毎日毎日同衾する訳でもないと色々諸問題が発生したから出来たシステムだと思ってるわ。」

「そう言えば、他領には娼館とかあったな……」

「ええ……」

一つ頷いて溜め息を吐き出す。
しおりを挟む
感想 5,614

あなたにおすすめの小説

【短編】捨てられた公爵令嬢ですが今さら謝られても「もう遅い」

みねバイヤーン
恋愛
「すまなかった、ヤシュナ。この通りだ、どうか王都に戻って助けてくれないか」 ザイード第一王子が、婚約破棄して捨てた公爵家令嬢ヤシュナに深々と頭を垂れた。 「お断りします。あなた方が私に対して行った数々の仕打ち、決して許すことはありません。今さら謝ったところで、もう遅い。ばーーーーーか」 王家と四大公爵の子女は、王国を守る御神体を毎日清める義務がある。ところが聖女ベルが現れたときから、朝の清めはヤシュナと弟のカルルクのみが行なっている。務めを果たさず、自分を使い潰す気の王家にヤシュナは切れた。王家に対するざまぁの準備は着々と進んでいる。

離縁を告げに

豆狸
恋愛
「バーレト子爵、ファティマを呼び捨てにするのは止めてくれないか」 「止めるのは君のほうだろう。ファティマは私の妻だ。妻を呼び捨てにしてなにが悪い」 「……ヒカルド様? 私達は二年前に離縁していますが」 なろう様でも公開中です。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました

ララ
恋愛
3話完結です。 大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。 それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。 そこで見たのはまさにゲームの世界。 主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。 そしてゲームは終盤へ。 最後のイベントといえば断罪。 悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。 でもおかしいじゃない? このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。 ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。 納得いかない。 それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?

悪夢に狂う

豆狸
恋愛
幼いころからの愛情が消えたわけではありません。 ですが、この恐怖は永遠に消えない、そんな気がしていました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。