婚約破棄されまして(笑)

連載

年越し準備！ 59

助……助かった……

「エリーゼ様を独占するのは止めて頂きましょうか！」

「嫌だと言ったら？アニスはずっとエリーゼと一緒なんだから、少し位……こんな時位俺が独占したって良いだろ？どうせ後でエリーゼと二人っきりになるんだろ？」

ひぃあ！何、言ってるの！そして助けられてません！
アニス！助けて～～！ワインの入ったコップを置いて手を伸ばすものの、ルークの手がパシッと掴んで引き寄せました！

「なりますけど何か！」

アニス！挑発されてるから！火花ちってますから！

「あら、まぁ若いって勢いがあって良いわねぇ。」

新たな救世主！お祖母さまがタコ焼き持って帰って来ました！お祖母さま！止めて～～！ルークを止めて～～！

「ねぇ、半年もしたら婚姻なのよねぇ。良いわねぇ、貴女の若い頃を思い出すわぁ。さ、お邪魔してはなりませんよ。いつ何時何があるか分からないのですもの、一つ一つ一緒の時間を作らせないといけないわ。」

ガビーン！お祖母さまは救世主じゃなかった……
後ろにいるお母様もちょっとだけ眉を寄せてる……お母様は私を助けてくれるのよね？

「そうですわねぇ……殿下はハインリッヒと違うものねぇ……たまには良いでしょう。半年もしたら義理とはいえ息子になる訳ですし、羽目さえ外さなければ大目に見ましてよ。」

え……ちょっ！お母様まで！嘘……

「お許しが出たし、今日は一緒にゆっくり飲もう。」

ガクリと項垂れ、チラリと横目でルークを見る。
ウヒャア！何！キャスバルお兄様と張れる位の甘い笑顔です！
もう、無理です。勝てない戦いとかやりたくないです。

「はい……タコの唐揚げ食べたいです。」

ヒョイヒョイとタコの唐揚げを取り皿に取ってコトッと置いてフォークを突き刺すルーク。

「ほら、アーン♡」

「アーン……んっ、美味しっ♡」

ベッタリくっついてるけど、あったかいし考えたら負けです。
それにしてもタコの唐揚げ美味しいです。コップ酒を再び手にしてコクコクと飲む。
あ～～！美味いなぁ～～ホント、タコって何でこんなに美味しいんだろ。

「エリーゼは美味しい物食べてる時は本当に幸せそうな顔になるよね。」

「えっ！そう！？」

クスクスと笑い声が頭の上から降ってくる。

「本当だよ。でも俺はエリーゼがずっと幸せそうな顔でいて欲しい。」

ぅあ～～！ダメだ……勝てないよ………何、このイケメン……どんだけ殺し文句持ってるの！私のライフはゼロです！