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サテュロスゲットの旅 69

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ザッ……と風に嬲られ黙々と進んで行く。暗い森の中、あちこちに魔石灯の灯りがともる。

「ライト」

パァ……と明るい灯りがともる。イメージとその魔法を発動するためのワードで出来る魔法。私が今発動した「ライト」の魔法は田舎の真っ暗な夜道を煌々と照らすLEDの街灯だ。夏になれば黙っていても甲虫とか来ちゃう灯り。おかげで辺りは昼間のように明るい。

「エリーゼ、どんなイメージか聞いても?」

隣をユキに乗って歩くルークが聞いてくる。

「ん?真っ暗な田舎の道を照らす街灯よ。」

「田舎ってスーパー林道的な田舎道か?」

「うん、そう。」

間違ってない。最も前世の私の住んでた家、市道から引っ張った私道だったからなぁ……お祖父ちゃんアスファルト敷いてたけど。

「そんなにか?」

「額田より残念な道路事情だったけどね。」

一度車を走らせて驚いたもんなぁ……

「いや、額田は道路事情良いだろ。」

「そうなんだ。」

「そうなんですよ。」

アオーン……

「聞こえたか?」

「勿の論です。まだ距離あるけど。」

マップを見てもまだ少し先で遭遇する事は分かる。

「威嚇かな?自分達はいるぞって。」

「だとしたら残念ね。迎え撃つなんて思いもよらないかしら?」

お互い小声で会話している。地面は苔むしてる為、殆ど足音は立たない。枯葉や小枝を踏んだ所で大した音も立たない。

ヒナもユキも歩いてるだけだからついて来ているニャンコ達も余裕で歩いてる。ピカ太郎とリコ、ルチルは抱えてたり肩に乗ってたりする。

「毒無しだと良いわね。」

「ああ、それは言えるな。そろそろか?」

マップのマーカー表示はかなり近い……が長はまだ奥にいる。中央突破で進まないとダメか……

「中央突破しますか。回収は後回しかな?」

「いや、拾って行こう。後回しの方が面倒だ。」

「じゃあ、自分が倒したのは自ら回収って事で。」

「ああ、来たな。よし!ジャギィだ!毒無しだぜ!」

「サンキュ!では、参る!行くよ!皆離れててね!」

「「にゃっ!」」

「ピカッ!」

「やるコーン!」

ヒナは首をグッと下げて走り出す。向こうも私達を見て走って来る。チラッと見たマップに映る一際大きい表示は私達を目指して動いて来る。私というご馳走に気が付いたのだろう。来るが良い!お前は私の獲物だからな!
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