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ただ今、準備中! 20

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ルークの腕の中でヨシヨシと頭を撫でられ、少しだけ落ち着いた。

「ルーク……ありがと……お母様の所に行って来る。」

お着物……お母様に頼んで仕立てて貰おう。生地と揃いの糸で……って、家からだったら正絹風だよ!ウールとあるでよ!色々仕立てて貰えるじゃん!嬉しくなってルークに笑顔で抱きついた


「楽しみだな。」

「うん!」

「準備はまだまだあるだろ。早く義母上の所に行っておいで。」

「ありがとう!また、後でね!」

ルークの腕の中から抜けだして、走って邸へと駆けてく。さすがに邸の中では走れないから、早歩きだけど。お母様のお部屋へと急ぐ。ノックをして、開けてくれるのを待つのが辛い。沢山の手紙やら何やらの前で難しいお顔をしているお母様に、足早に近付いてくと私の顔を見て慌てて立ち上がった。私、そんな変な顔をしていたのかしら?

「エリーゼ!どうしたの!何があったの!」

駆け寄るように近付いて来るお母様とぶつかりそうになったけど、ぶつかる事なんて無くて……

「お母様、先程ルークに聞いたのです。シルヴァニアにお着物があると。」

「ええ、あるけど。興味があるの?」

お母様はキョトンと私を見つめながら応えてくれる。

「あのね、お母様。私、二十歳のお祝いの……「御振り袖が欲しいの?!」……はい。」

大きく目を見開いて、直ぐ様嬉しそうに微笑むうんと綺麗なお母様のお顔……

「まあ!まあまあまあ!生地も糸もうんとあるから、家から……いえ!あちらの職人を呼び寄せましょう!エミリ!大至急何人か呼んで、こちらの職人にも覚えて頂きましょう!それが良いわ!覚えて頂けば、こちらで沢山作れるもの!エリーゼ!沢山作りましょう!ドレスも作るけど、お着物も沢山仕立てましょう!ああ!私と揃いの柄とかも良いわね!楽しみね!」

お母様がハイテンションになりました。嬉しいけど、どんだけ作る気なのでしょう。いや、着道楽だったのなら五十枚とか百枚の世界だから普通なのか?いや、分からないけど……でも、お母様とお揃いか……

「二十歳のお祝いも盛大にやりましょうね!家族揃っての内々のお祝いだけど、やはり特別なお祝いですもの!楽しみだわ!シルヴァニア一族の風習だから諦めていたのよ。」

ん?シルヴァニア一族の風習……

「じゃあ、お母様は?」

「里帰りしてハインリッヒ様に内緒でお祝いよ!ね、エミリ!」

「はい。楽しい里帰りでしたね。」

なんと……お父様はお母様の着物姿を知らないのか……

「お母様のお着物姿……きっと可愛かっただろうな……」

ポロリと出てしまった。ビックリ顔のお母様、ちょっと可愛い……

「ま……!とにかく、お着物の事はお母様に任せなさい。良い物を作らせますからね!」

「ありがとうございます、お母様!」

お着物の事はお母様に任せる事にして、お母様のお部屋から退室しました。成人のお祝いもしてくれるようで、それも楽しみになりました。足取りも軽く自室へと戻ります。
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