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「サムじいは驚かないのね。」

「うん?何がだ?エリーゼ様はシルヴァニア家の血が強く出なすったんだろう。あの家は不思議な娘が多いと聞いたがなぁ。」

「えっ!誰から聞いたの?」

「そりゃあ、若奥様に来まっとる。若奥様も不思議な方じゃから、あっという間に皆信じたさぁ。」

……まさかのお母様自らのネタバレ。しかもサムじいからは不思議認定受けてるし……いや、不思議か。あの姿で強烈なパンチを繰り出したりとか到底普通の令嬢とは言い難いものな。色々規格外だもの……っと、背中がヒヤリとしたわ。くわばらくわばら。

「何かあったとしてもエリーゼ様じゃから、納得じゃわ!」

それはどう言う意味だろうか……いや、聞くまい。大事なのは食料物資として豆類を持って行ける事だ。

「エリーゼ様、あの何に使うか良く分からない種もとってあるがどうする?」

そう言って見せてくれた木箱の中身は椿の種でした。すでに八丈島で菜種油を生産してるので、椿油は食用ではなく美容に使う事にしよう。菜種油は春になったら生産して貰おう。

「ありがとう、サムじい。これは今からある程度貰って行って、ちょこちょこっとするわ。」

「そうかね。」

採れた椿油はお母様の所と半分こして乾燥から肌とか髪を守ろう。ざっざかざっざか無限小収納に入れていく。

「うん。大分貰っちゃった!でも、これから豆類は領地で作る事になるから。」

「そうかね。」

「ええ、特にこの小さな紫がかった豆。小豆と言って、お母様のお気に入りなのよ。」

料理長に砂糖の在庫を聞いて、多めにおいておかないとね!後、善哉は小まめに作ってお母様に出すように言っておけば邸の中は平和な筈!

「ほぉう!若奥様はこの豆が気に入っとるのか!じゃあ、この豆はたんと作らんとな!」

「ええ!頼んだわよ!」

サムじいに頼んでおけば間違いない!頼りがいのある男!ただし植物に限る!

「じゃあ!行くね!これからも宜しくね!サムじい!」

「任せとけぇい!」

ハッスル爺ちゃんだよ。でも長生きしてね!
私は一路、厨房を目指す。厨房に近付いた時だった……

「今度は俺が付いて行く!」

……え?料理長だよね?

「なに、言ってるんすか!年考えて下さいよ!」

ジムか……

「うるせぇ!今度は俺が付いて行って、エリーゼ様から直々に教えて貰うんだよ!若いからってお前ばっかり教えて貰ってんじゃねぇよ!」

……今度の旅に付いてくるんだ……でも料理長が来たら誰が指示だしするの?

「俺の代わりにジム、お前がやりゃあ良いんだよ!」

「料理長!」

ジムが叫んだわよ。気になる!

「若手じゃあ、お前が一番だ!ずっとこっちに居た連中も新しい料理はまだ良く分かってねぇ!お前が先頭切って教えるんだよ!良いな!意義のあるやつは今言え!」

「「「「「ありません!」」」」」

料理長、そんなにかよ……

「よぉーし!聞いたな、ジムよ。とにかく俺はエリーゼ様の旅に付いてく。帰ってくるまでジム、お前が俺の代わりだ!」

「……はい。」

今度の旅はジムじゃなくて、料理長来ちゃう事が決まりました。私の意見丸っと無視で。いえ、良いんですけどね。
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