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休憩してひたすら登って夕日で真っ赤に染まった集落に到着しました!

「お帰りなさいませ!」

辿り着いて会う人会う人から挨拶される。笑顔で返して、集落を頼んだ世話人の所へと向かう。

「おお!久し振りでございます!お帰りなさいませ!マーユ様!ターク様!」

世話人もいつの間にか、奥さんの方が偉くなってたようで先に挨拶してきました。旦那さんは横でずっと頭下げてました。

「ただいま。頭上げて!本当に久し振り!上がっても良い?」

「勿論でございます!食事はまだですか?まだなら是非とも我が家で食べていって下さい!」

矢継ぎ早に訪ねたら、同じテンションで返ってきました!何か、関西のおばちゃんぽくて良い。後ろで「お手数かけます。」ってタークの言葉と「いえいえ、妻のあんな嬉しそうな顔は久し振りです。」と応える旦那さんの会話が聞こえる。

「明日はお祝いです!子供達も増えて賑やかになってきたんですよ!」

「うん、良かった。良かったね。」

本当に良かった。きっとこのまま人が増えていくんだろうな。

この日、世話人の家に厄介になって翌日の朝この集落の我が家に帰った。
毎日誰かが空気を入れ換えてくれて、掃除をしてくれていたんだと分かる状態だった。いや、世話人の奥さんから言われてたけどさ……どんなもんか見るまで分かんないじゃん。それが、家を出た時と何にも変わってなかった。

「ありがたいな。ちゃんと手を入れててくれてたんだ。」

「うん。」

「俺さ、ちょっと考えてたんだ。」

「何を?」

何を考えてたんだろう?気になる!メッチャ気になるよ!

「水場って言うか巨大湖作った時、水の精霊が生まれただろ。ここって風が強いじゃん。風の精霊、生まれないかな?って思ってさ。」

「え?!ど……どうやって、やるつもりなの?」

ニヤッと笑ったタークは何か考えてるのは分かる。だけど、それが何なのかは分からない。

「ま、とりあえず朝ご飯でしょ。」

「えー!露骨に話題変える~?」

「はははっ!変えるよ!何食べたい?」

竃の前に行って、薪を入れて魔法で火をつける。私は水瓶を覗いて、空になってるのを確認して水姫ちゃんにお願いして綺麗な水で一杯にして貰う。

「今日は頑張らなきゃいけないから肉!」

「肉だけとかダメだからな!キノコ焼くか?」

キノコ!食べたい!

「キノコ良い!」

竃の上に平べったい石を乗せて、その上に脂ののった肉をちょっと厚めに切って乗せていく。ジュウジュウと脂が焼けていく。タークはクルクルと動き回ってササッとキノコを洗って石の上にポンと置く。キノコが肉の脂で焼けてくのが匂いで分かる。塩の葉が刻まれパラパラと振りかけられる。木のカップに水を入れてタークに手渡す。

「サンキュ」

グイッと煽るタークの男らしい仕草にドキリとする。何で料理する男はどことなく色っぽいのかね?いつまでも夫に恋するって何か……何かさぁ……これが、いつまでも若い証拠か!?
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