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挨拶

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「和哉。手洗ったならさっさと彼女さんを両親に紹介してやんなさい」

「分かってるよ。みゆちょっと着いてきてくれるか?」

「うん。分かった」

 俺はみゆを連れて両親のいる部屋。要するに仏壇の置いてある部屋へと向かう。ここに来るのも去年の夏休みぶりだから半年以上も来ていなかったことになるのか.......。そんなことを考えながらもお鈴を鳴らす。意外と知らない人も多いがお鈴というのは、仏壇に備えられているチーンと鳴らすやつのことで音を鳴らすのは挨拶の意味合いがあるそうだ。

「ただいま父さん母さん。半年以上も帰って来なくてごめん。本当は冬休みには帰る予定だったんだけど色々あって帰れなかったんだ。それより紹介したい人がいるんだ。俺の彼女の白夢みゆだ。こんな俺にも彼女が出来たよ。俺にはもったいないくらい可愛い彼女なんだ」

「初めまして。和哉くんとお付き合いさせてもらってます白夢みゆと申します。和哉くんはあぁ言っていますが、私からしたら和哉くんは私にはもったいないくらいです」

 みゆも俺と並んで仏壇の前に正座しており、そんな嬉しいことを言ってくれる。実家に帰ってきた大きな目的はこれで果たせた。

「ありがとうな」

「うん。この写真の人達が和哉くんのご両親なんだよね?」

「そうらしいな」

 俺も実際に両親の顔を見た記憶は俺が幼すぎたゆえに曖昧であり、写真での両親しかほとんど知らないからこういった曖昧な表現になってしまう。

「こうやって見ると和哉くんはお母さんに似てるね」

「そうか?」

「うん。この目元とかそっくりだよ」

 そうは言われても俺自身ではなんとも言えないけど、こう言ったのは他人の客観的意見の方があっていそうだしどうやら俺は母さん似らしい。

「お父さんの方は穏やかそうな人だね。多分だけど、性格はお父さん寄りなんじゃないかな?」

「まっ、そればっかりは今じゃ分からんよな。けど、そうだったらいいなって何となく思うよ」

「うん」

「そろそろ、居間に戻るか? ばあちゃんも待ってるだろうし」

「そうだね」

 ばあちゃんも空気を読んでか、俺達が両親に挨拶している間はずっと居間で待ってくれていたのだ。それから、俺とみゆはばあちゃんのいる居間へと向かう。

「あれ? そう言えばじいちゃんは?」

「じいさんならいつものとこだよ」

 ここで言ういつもの所とは年寄りの人達が集まって将棋や囲碁などを楽しむ施設のようなところだ。

「そうだねぇ。ちょうどお昼時だし、じいさんを迎えに行ってはくれないかい?」

「いいけど、みゆはどうする?」

「私はここに残ります」

「そうか? それなら行ってくるよ」

 みゆとばあちゃんを家に2人で残しておくのは何となく不安だがみゆがそう言うなら仕方ない.......。頼むから俺の昔の恥ずかしい話とかだけはしないでくれよばあちゃん.......。

「さて、愚息も家から出ていったみたいだしもういいんじゃないかい? ここに来た時からずっと私に言いたいことがあったんだろう?」

「.......はい」
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