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第16話 復活のS After...

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黒猫サファイア猫魈side】

「何が『これにて一件落着』だって、ぬらりひょん。
 アンタは遠山の金さんか !『絆が深まったような気がするのう』なんて、よくも言えたもんだね。
 あれほど、整理整頓するように注意していたのに、離れがゴミ屋敷に成っているじゃないか !」

 本当に、このクソ爺ぬらりひょんはろくでもないことばかりするんだから !
 もうすぐ、八重や十八番エースが帰って来るというのに、危うく大事に成るところだったよ。
 
「ところで、一緒に酒を一緒に呑んでいた一反木綿や唐笠小僧は帰ったのかい ?」と聞いたら、ぬらりひょんが一瞬、瓢箪の方を見た。 ……まさか !

「テヘッ。 儂、やっちゃったかな !?」と、クソ爺ぬらりひょんがぬけぬけとびてきた。

 イラッ としたけど、ここは我慢、我慢。
 どうしたものかと考えていた時、

「ただいまぁ~ ♪」「おじゃましまーすちゃ !」「じゃまするでぇー !」「お邪魔します」「「「おじゃまします」」」

 十八番エースが友達を連れて帰ってきた。
 ぬらりひょんに悪霊を封印した瓢箪を預けて置くのは危険だと判断したボクはタマ妖狐に頼み、妖怪省に運んでもらうことにした。
 あそこには物知りな妖怪たちである、天狗や轆轤首ろくろくび和狸わだいが居るから何とか成るでしょう。

◇◇◇

 最初、「何で、私だけ……」としぶっていたタマも理由を話したら妖怪省に行くのを納得してくれた。
 一応、ダイフクモチ人狼も一緒だから退屈はしないと思う。 よくケンカをしているけど、なんだかんだでアノ二人は仲が良いからね。

 問題は、こっち……ぬらりひょんが、十八番エースたちに、ちょっかいを出すことなんだよね。

「おお、ボンエース お帰り。 今日は新しい友達も一緒か。  うんうん、良い傾向じゃのう。  」 などと言うぬらりひょん。

 この爺、一反木綿や唐笠小僧を、あんな目にあわせておいてどの口が言うんだろう。

爺ちゃんぬらりひょん。 僕たち、テレビゲームをやろうと思うんだけど、二人あぶれるから何か良い遊びを教えてよ 」

 いつも遊んでいる『金太郎電鉄』で遊ぶつもりなのかな ? 別名、友情クラッシュゲームを。

 グッパッで、チーム分けをした十八番たち。
 案の定、十八番とネイ、右京、真雪のチームと新しい友達の三人のチームに別れてしまった。
 十八番、最初にグウを出すから、幼馴染みの三人は覚えているんだろうね。
 金太郎電鉄の最下位とブービーが抜けて入れ替わるルールみたいだね……ちゃっかり、ぬらりひょんも十八番と一緒に遊ぶつもりなんだろう。

◇◇◇

 ぬらりひょんは花札を出して来て、ルールを説明した後に『こいこい』を始めだした。
 可哀想に……と思っていたのだけど、察知聡子さっち さとこや 意地川塁いじがわ るい、藤崎光は意外と良い勝負をしている……と云うより、ぬらりひょんが劣勢だった。
 特に、聡子はぬらりひょんの手札が見えているように動いているように見える。
 あの娘たち全員、妖怪の血を引いているのだろうけど、強すぎない !?
 結局、ぬらりひょんはビリに成って、ポカーンとしていた。



 ぬらりひょんはビリになってしまったことにしばらく呆然としていたが、やがて一計を案じたかのようにやりと笑みを浮かべた。

「いやはや、お見事じゃのう。これでは儂もまだ精進が必要のようじゃ。さて、どうするかのう……」

 ぬらりひょんは少し考えた後、振り返って部屋の片付けを始める素振りを見せた。それを見て十八番がゲームを止めて、

「さあ、みんなで手伝おうよ !爺ちゃんぬらりひょんもこれに懲りて、少しは整理整頓を学んでくれるだろうし、今のうちにこの離れをきれいにしておこう」

すると、周りにいた妖怪たちが一斉に協力をし始めた。ぬらりひょんのごちゃごちゃしたコレクションも、整然と並べられて見違えるようになった。

 友達たちも新たな友情が芽生えたことを感じ取りつ、部屋の片付けをしながら楽しげに語り合っていた。ぬらりひょんは少しばつが悪そうに笑い、彼らを見守っている。

そして、ふと十八番が藤崎光たちに向かって言った。「皆、またいつでも遊びにおいでよ。また、一緒に遊ぼうよ!」

ぬらりひょんはその言葉に微笑んで応えた。
「ありがとう、ボン。次こそは儂も手加減せずに全力でいくからのう!」

 嘘だ、鴨にしようとしていたクセに !  負け惜しみを言っている。  『負け犬の遠吠え』と云う奴だね。

 しかし、十八番も大変だね。  無自覚に半妖たちを魅了しているんだから……まあ、頑張って女の子たち !
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