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第31話 埋蔵金 ⑥

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【左近side】

「主水、お前は浪人たちを頼む。
 俺は、飛び道具を使う奴を始末する 」

「わかった !」 

 二人には人殺しはして欲しく無いけど、相手は殺る気でくるんだから仕方ないわね。

「十兵衛さん。  わたしたちは大人しくしているから、正成さん達に加勢してあげて ! 」

 十兵衛さんは 一瞬考えた後に、

「わかり申した。  すぐに片付けてきますので、 !」

 と言い残して加勢に向かってくれたわ。
 剣の達人が三人もいれば大丈夫よね。

「周りを警戒しながら、十兵衛さんの帰りを待つわよ !」

 徳松さんと弥太郎さんの返事は無くて、何故か、わたしに冷たい目を向けている二人。
 わたしって、そんなに信用無いかしら ?

 わたしの予想通りに十兵衛さんが加勢してくれたお陰で、全員の怪しい男たちが沈黙したところで……

「申し訳ないが、その男たちを、此方こちらに渡してもらおうか 」

 いきなり、黒づくめの男たちが現れたわ。

「貴殿方も一緒に来て頂こうか。
 手荒な事はしたくないので、大人しくしてくれるとありがたいのだが……」

 黒づくめの男が、わたしに手を伸ばそうとしたら、

「そのお方に手を出したら許さんぞ、風魔 !」

 半兵衛さん達、光矢衆が間に入り込んでくれた。

「……根来衆か。  近頃、あるじを得たと聞いていたが、本当だったようだな 」

「我らは光矢衆。 殿に頂いた名前を覚えておけ !」

 なんだか、周りの視線が痛いわ。
 徳松さんも弥太郎さんも知っているはずなのに、なんなのよ !

「わかり申した。  そちらの方々には手を出さないことは約束するが、五千両は此方が盗まれた物だから返してもらうぞ 」

 よっ 良かった !
 駆けつけて来た十兵衛さん達も刀を抜いていたから、 騒動に成らなくて良かったわ。

 風魔の人は、小次郎と名乗ったけど、アノ小次郎さんとは別人よね !?

 見届けることは許可してくれたので、木賃宿まで一緒について行く。

 何故か、風魔の人たちが、わたしをチラチラと見ている気がするのは自意識過剰だからでは無いわよ !

 木賃宿の店主おやじさんに事情を話してから、宿の床下を風魔の人ががし始めた。

 床下を剥がした後に土を掘っていると、

 カチッ !

 何か硬い物に当たった音がすると、風魔の人が丁寧に土をどかしていると、石棺が出てきたわ。
 この中に五千両が入っているのね。

 ズッ ズッ ズッ ズッ !

 石棺のふたを慎重にずらしていくと……


 ……石棺の中に五千両は無くて、一枚の木札が入っているだけだった。

 もしかしたら、宝の地図かしら ?

 小次郎さんが木札を確認したら、顔色が赤く成っていった。
 よっぽど、すごい地図なんだわ !

 一瞬、木札を床に叩きつけようとしたところで、ピタッ と止めてから半兵衛さんに木札を渡してくれたわ。

 半兵衛さんも木札を確認しているけど、複雑そうな顔をしている。
 ものすごく、何かを我慢している顔だわ。
 半兵衛さんが、わたしに木札を渡して来たので確認すると、徳松さん達も一緒に覗きこんで来た。


 【 スカ 】

 木札には、それだけが書いてあった…………

 皆、笑いをこらえているわ。
 当然、わたしも笑いを堪えている。

 風魔の人たちは会釈をすると、黙って立ち去ってしまった。

 風魔の人たちの姿が見えなくなると一斉に………


 ワッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ  ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ !

 しばらく、笑いあったわたし達。
 風魔の人には悪いけど。
 流石、石川五右衛門だわ !
 キレッ キレッのジョークには脱帽だわ。

 さあ、おひらきにしましょう、と言おうとしたら……

「十兵衛殿、正成、主水。  三人で石棺の床を破壊してもらえないだろうか 」

 弥太郎さんが考えるように話した。
 三人が力を合わせて石棺の床を破壊すると………
 もう一つの小さな石棺が姿を現したわ !?

 静かに小さな石棺の蓋を取ると……
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