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第25話 暗躍《あんやく》
しおりを挟む『盡忠報國の士 芹澤鳩子』と刻まれた鉄扇を仰ぎながら、コーラをガブガブ飲んでいた芹沢鳩子の元に青薔薇のチームに潜り込んでいた織田真理が報告に来て芹沢に耳打ちをした。
「そうですか……佐渡屋薫は茨城恭介さまの勧誘に失敗しましたか……
これは、是非とも黒薔薇のチームに入ってもらわねば ! 」
風紀委員会、機動新撰組は表の顔、裏では蛇骨会の黒薔薇と言われる芹沢鳩子。
このままでは、機動新撰組の局長の座は近藤勇樹に成りそうだ。
そうなれば、自分たち芹沢派は冷や飯を喰らうことに成るだろう。
だったら、本格的に裏の顔である蛇骨会に力を入れるべきだと考えていた。
芹沢鳩子、現在は離婚した母親の性を名乗っているが、旧姓 北茨城鳩子。
茨城家とは遠縁の親戚でもあった。
「おまかせください、鳩子さま
わたくしが茨城恭介を拐って来て、鳩子さまに捧げましょう ! 」
側近の新見美旗が言うと顔を上気させた鳩子が腕をブンブン振り回しながら、
「お黙りなさい、美旗さん !
恭介さまに嫌われたら、どうするのよ !
元婚約者、フィアンセだったとは云え、恭介さまは知らないのだから乱暴な手段はご法度よ ! 」
そう、一度は茨城恭介と北茨城鳩子には婚約の話が有ったのは事実だった。
見合い用の幼い恭介の写真を見た鳩子は一目惚れしてしまう。
婚約の話がご破算に成ってからも諦めきれない程に拗らせていたのだった。
「日富美さん、美代さん、恭介さまを丁寧に私の元に招待してもらえるかしら ? 」
── 『『『誘拐と何処が違うんじゃあ~ ! 』』』 ──
平間日富美と平山美代、新見美旗は思っていたが口に出したりはしない。
このポンコツなリーダーが大好きなのである。
しかし、部屋の隅の方で静かに冷たい目をした永倉八重と斎藤波津子が口角を僅かに上げていることに気が付くことはなかったのである。
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