上 下
316 / 330

クリスマスパーティー After...

しおりを挟む
【英里香side】

「蝶子ちゃん、頑張っているわね。  
 うかうかしていると貴女たち、クリぼっちなクリスマスを迎えてしまうわよ。
 せっかく、お母さん達が器量良しに産んであげたんだから努力して欲しいなぁ~」

 お母さん大江戸楓が流し目でささやいてくる。
 お父さん大江戸仁のお母さん達の中でも一番のくせ者。
 我が母ながら女神付きでは無いはずなのに、妙に迫力がある。
 そして、わたしの耳にだけ聞こえるように近づき、

「英里香は、どっちが本命なのかなぁ~、ヤンチャなツンツン頭の男の子と長髪メガネの男の子。
 お母さん、反対しないから頑張って落しなさいね 」

 ……もしかして、左慈ツンツン頭于吉腹黒メガネのことを勘違いしている !
 誤解だと言う前に台所に戻ってしまった。
 駄目だ、頭を冷やそう。
 暖かい部屋から外に出る為に、コートとマフラーをする。
 雪こそ、あまり降らないけど関東のからっ風は冷たく、年末年始を無事に過ごす為には風邪など引いていられない。

◇◇◇

「これは、これは女神さま、ご機嫌麗しゅうございますか 」

「よくってよ。あなたは如何? 」

 白々しい男、于吉が嫌らしい笑顔で居た。

「何時から気がついたのかしら ? 」

 わたしの質問に対し于吉はうやうやしくしながら、

「私も占い、八卦はっけを趣味としていますので……」

 油断成らない男……わたし達、大江戸兄妹を普通の人間じゃ無いと疑い調べたのね。
 八卦占いで、調べたのは中国人の導師らしいけど。

 左慈が黙ってお盆に乗せた菓子類を差し出した。
 あんパンやクリームパンの他にどら焼が多い。

「女神さまは、ことのほか甘味をお好きだと聞いて用意いたしました。
 これで、今までの無礼をお許し頂けるとは思いませんが、お近づきの印にお納めくださると有り難き幸せなのですが 」

 わたしの周りに食いしん坊な女神は……ひとり居るけど、彼女女神ヘーベーは納豆好き。
 思い至るは、バビロニア神話、シュメール神話の風の女神ニンリル。
 確か、彼女たちをモデルにしたラノベが有ったはず。

「ちなみに、わたし達が何処の女神までは知っているのかしら ?
 何処のラノベの駄女神を参考にしたのなら、神罰を下すわよ 💢 」

 ダラダラとアブラ汗を流す于吉。一方で、突き合わせられただけなのか左慈は何処行く風のごとく知らないフリをしている。


◇◇◇◇
【于吉side】

 参りましたね、お見通しですか……
 まさかと思いカマを掛けたのですが、本当に女神だったとは……当たって欲しく無い勘に限って当たるのも考えものですね。

融通の利かなそうな明日菜さんよりは与し易い英里香さんを選んだのですが、失敗ですかね。
 ダメもとで聞いてみますか、

「せめて、ヒントだけでももらえないでしょうか、お美しい女神さま 」

 アレ ?  褒め称えているのに、英里香さんの顔が引きつっていますね。

「……エリスよ、わたしの神名は。
 大ヒントを与えたんだから、感謝しなさいよね ! 」

 おーおー !  これはこれは、感謝せねば……

「このたびは、第三期のアニメ化 おめでとうございます。
 流石、幸福の女神さまはお優しい !
 お逢い出来て光栄です 」

 ゴッ ゴッ ゴッ ゴッ ゴッ ゴッ !

 なんと云う覇気、いや神気ですか !
 英里香さんから凄いオーラを感じます。

「バ~~~~カ、地雷を踏み抜いたなお前于吉
 生きていたら、また会ってやる 」

 そう言って左慈が転移してしまいました。

 ポン !

 私の肩に手を置いて微笑む英里香さん……女神エリス様。

「わたしは、よ。
 何処かのと間違うなんて、いい度胸ね 」

 アレ、私ヤラカシました ?
























 気がつくと、素っ裸にされた上に逆さ張り付けにされています。
 …………参りましたね、惚れてしまいそうです、女神エリス様 ❤️


◇◇◇

※この世界、『大江戸くんの恋物語』と続編『邪神が転生 !』は、男性が少なくの世界です……少数派ですが。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました

ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。 大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。 ー--- 全5章、最終話まで執筆済み。 第1章 6歳の聖女 第2章 8歳の大聖女 第3章 12歳の公爵令嬢 第4章 15歳の辺境聖女 第5章 17歳の愛し子 権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。 おまけの後日談投稿します(6/26)。 番外編投稿します(12/30-1/1)。 作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

処理中です...