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嵐のごとく Ⅶ ⑨
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【嵐side】
ログインすると、さっそくベルが
「やっと来た ! 嵐が帰って来るのを、今か、今かと待ち遠しかったよ !」
少しゲンナリした顔をしている。
「……何か、あったのか ? 」
俺の質問にベルが怒りながら、
「有ったなんてもんじゃ無かったよ !
あのエロフの王様が、ボクにまで迫ってきて大変だったんだからねぇー !
逃げ回るのに疲れたから、休ませて貰うよ 」
と、言いながら俺の懐の内ポケットに入って行った。
見境がないと云うより妖精と仲良く成りたいのだろうけど、口に出したりはしない。
俺は空気が読める漢だからな !
宿舎代わりに宛がわれた部屋から出ると、
「おおー、義兄上 ! 起きられたか。
長旅で疲れていたようで、ぐっすり寝ておられたようだから 心配していたのだ。
……ところで妹御は、まだ寝ているのであろうか ?」
「だ・れ・が・義兄上だ !
妹たちも仲間もスケベドゥイルと、そういう仲には成って無いだろうが !」
「『嫌よ、嫌よも好きのウチ』とヒト族の格言があると聞く、だから妹御が我に気を寄せるのも時間の問題なのである !
このスケベドゥイル、エルフ随一の良き男 !
惚れぬ女御など居る訳が無い !
我は、エルフもヒト族も差別などしないから、安心して妹御を任せて欲しい、義兄上 !」
まったく、何処から来るんだ この自信は !
ガチャリ
部屋からアリアたちが出て来た。
「おおー、アリア、エデン、リアス、待ちわびたぞ !
もちろん、他の客人も待っておったぞ !」
やはり、妹たち三女神が本命か。
他の女子メンバーも可愛いが、身びいきかも知れないが元女神だけあり極上美少女だからな、アリアもエデンもリアスはな。
嫌悪感からか、女の子達がプルプルと震えている。
帰り道もエルフの国を通過するんだから、我慢してくれよ !
しかし、俺の願いは……
ツカツカとスケベドゥイルの前にアゲハが立ち、
「確かに、あの三人は美少女だけど、この超絶極上美少女の蝶子ちゃん を無視するなんて許せない ! 」
スケベドゥイルに食って掛かる蝶子。
頼むから手を出すなよ。
「う~む、何と云うか、貴公にはだな、本能で危険を感じるのだよ…………そう、可哀草がヒト族に成った感じがするのだよ 」
可哀草ってなんだろう ?
俺達が疑問に思っていたのが顔に出ていたのか、スケベドゥイルが説明してくれた。
「可哀草と云うのは、この辺りに生えている植物型モンスターで、見た目は可憐で人畜無害な姿をしているが、冒険者や我らエルフの同情を誘って虜にしてから、己の微毒で徐々に弱らせて最後には養分として食べてしまう恐ろしいモンスターなのだ ! 」
バキッ !
蝶子の踵落としが、スケベドゥイルの脳天に見事に決まり、
バタッ !
泡を吹き、白眼を向いて倒れてしまった。
エルフの女性衛兵たちが、こちらを睨んできた。
あちゃー、これは捕まるか国外追放に成ってしまうのか !
そう覚悟していたら、隊長らしい女性エルフが出て来て、
「申し訳ありません !
このセクハラ爺には、私達も手を焼いていましたので助かりました。
客人には、ご迷惑をかけ申し訳ありませんでした。
ここは上手く誤魔化しますので、早めに出発して頂くと助かります」
隊長の申し出を受けて、直ぐに俺達は出発することにした。
今回、誰も蝶子を責めなかったのは、皆 相当 スケベドゥイルにイラついていたからなんだろうなぁ。
しかし、スケベドゥイルも一応、王なのに誰からも同情されないのは憐れだったな。
俺達はエルフの国を出国して、一路『精霊国』に向かった。
ログインすると、さっそくベルが
「やっと来た ! 嵐が帰って来るのを、今か、今かと待ち遠しかったよ !」
少しゲンナリした顔をしている。
「……何か、あったのか ? 」
俺の質問にベルが怒りながら、
「有ったなんてもんじゃ無かったよ !
あのエロフの王様が、ボクにまで迫ってきて大変だったんだからねぇー !
逃げ回るのに疲れたから、休ませて貰うよ 」
と、言いながら俺の懐の内ポケットに入って行った。
見境がないと云うより妖精と仲良く成りたいのだろうけど、口に出したりはしない。
俺は空気が読める漢だからな !
宿舎代わりに宛がわれた部屋から出ると、
「おおー、義兄上 ! 起きられたか。
長旅で疲れていたようで、ぐっすり寝ておられたようだから 心配していたのだ。
……ところで妹御は、まだ寝ているのであろうか ?」
「だ・れ・が・義兄上だ !
妹たちも仲間もスケベドゥイルと、そういう仲には成って無いだろうが !」
「『嫌よ、嫌よも好きのウチ』とヒト族の格言があると聞く、だから妹御が我に気を寄せるのも時間の問題なのである !
このスケベドゥイル、エルフ随一の良き男 !
惚れぬ女御など居る訳が無い !
我は、エルフもヒト族も差別などしないから、安心して妹御を任せて欲しい、義兄上 !」
まったく、何処から来るんだ この自信は !
ガチャリ
部屋からアリアたちが出て来た。
「おおー、アリア、エデン、リアス、待ちわびたぞ !
もちろん、他の客人も待っておったぞ !」
やはり、妹たち三女神が本命か。
他の女子メンバーも可愛いが、身びいきかも知れないが元女神だけあり極上美少女だからな、アリアもエデンもリアスはな。
嫌悪感からか、女の子達がプルプルと震えている。
帰り道もエルフの国を通過するんだから、我慢してくれよ !
しかし、俺の願いは……
ツカツカとスケベドゥイルの前にアゲハが立ち、
「確かに、あの三人は美少女だけど、この超絶極上美少女の蝶子ちゃん を無視するなんて許せない ! 」
スケベドゥイルに食って掛かる蝶子。
頼むから手を出すなよ。
「う~む、何と云うか、貴公にはだな、本能で危険を感じるのだよ…………そう、可哀草がヒト族に成った感じがするのだよ 」
可哀草ってなんだろう ?
俺達が疑問に思っていたのが顔に出ていたのか、スケベドゥイルが説明してくれた。
「可哀草と云うのは、この辺りに生えている植物型モンスターで、見た目は可憐で人畜無害な姿をしているが、冒険者や我らエルフの同情を誘って虜にしてから、己の微毒で徐々に弱らせて最後には養分として食べてしまう恐ろしいモンスターなのだ ! 」
バキッ !
蝶子の踵落としが、スケベドゥイルの脳天に見事に決まり、
バタッ !
泡を吹き、白眼を向いて倒れてしまった。
エルフの女性衛兵たちが、こちらを睨んできた。
あちゃー、これは捕まるか国外追放に成ってしまうのか !
そう覚悟していたら、隊長らしい女性エルフが出て来て、
「申し訳ありません !
このセクハラ爺には、私達も手を焼いていましたので助かりました。
客人には、ご迷惑をかけ申し訳ありませんでした。
ここは上手く誤魔化しますので、早めに出発して頂くと助かります」
隊長の申し出を受けて、直ぐに俺達は出発することにした。
今回、誰も蝶子を責めなかったのは、皆 相当 スケベドゥイルにイラついていたからなんだろうなぁ。
しかし、スケベドゥイルも一応、王なのに誰からも同情されないのは憐れだったな。
俺達はエルフの国を出国して、一路『精霊国』に向かった。
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