上 下
48 / 330

嵐のごとくⅢ ⑤

しおりを挟む
【嵐side】

  クソゥ、 すっかり囲まれてしまったぜ!
森に警戒しながら入って、動物系モンスターばかりに注意していたら、いつの間にか『トレント木のモンスター』に囲まれていた。
 どれが本物の木で、どれがトレントなんて判るかよ!
VRMMOだから『ゴッドアイ鑑定』なんて使えないし、このままだとジリ貧だよな。

 火魔法が使えれば森で火魔法なんか簡単に倒せるのに使える訳無いだろう脳筋、俺達のパーティーで魔法を使えるのはアゲハだけだ。
 それも回復魔法だけだから攻撃には向かいんだよな。

水遁すいとんの術、水刃乱れ撃ち!」

 水魔法!
水の刃が、次々とトレントを切り刻んでいく。

「さあ、ここは私達に任せて、今の内に戦闘から離脱して!」

 忍者!  それと騎士や武士が乱入して来てトレント達の相手をしてくれている。

「スマン、恩に着るぞ!」
俺は礼を言ってから仲間と、一緒に戦線から離脱した。

 
♟♞♝♜♛♚♙♘♗♕♖


 謎の忍者に助けて貰い、なんとか森の魔女から『薬』を受け取り帰り道に向かう処で

「ねえ、ケンシン。
他のプレイヤーに助けて貰っても『クエスト失敗』には成らないの?」

 アゲハが心配そうに聞いてきた。
一応は人に気を使えるくらいには、マトモに成っていると云う事から、ずっーと記憶が封印されている方がコイツ蝶子にも俺達にも幸せだと思う。

「 それなら大丈夫だ。
『お使いクエスト』の目的は、あくまで依頼を達成することで戦闘は、あまり関係が無いんだよ。
 もちろん、あからさまに手伝って貰えば違反に成るのかも知れないが、今回は偶発的に助けて貰った訳だから違反には成らないと思うぞ」
………説明ありがとう、サナダよ。

「帰りも気を引き締めていくぞ!
トレントの存在も忘れるなよ、依頼人に依頼品を渡すまでが『クエスト』だ!
 レェッツラ・ゴオーだ!」
 かけ声をかけた俺を三人が、シラケた目で見ている。

「しょうがないだろう!
お前達だって『トレント』の存在を忘れていたんだからよ!」


♔♟♞♝♜♛♚♙♘♗♕♖


 帰り道は、大したトラブルも無く無事にクエストをこなすことが出来た。
 NPCとは云え感謝されたことに良い気分に成った俺達は、成功を祝って祝勝会をすることにした。


「初クエスト達成を祝って、カンパーイ!」

「「「カンパーイ!」」」

 ゲーム内とは云え未成年だからジュースでの乾杯だ。
バーチャルリアリティなんだからビールくらい良いと思うんだが運営は認めて無いらしい。
 まあ、いろいろとあるんだろうな、難しい事は判らないが。

「初クエスト達成おめでとう」
スレンダーなお姉さんが来て俺達のことを祝ってくれた。

? 誰だ、このお姉さんは。

 俺が不思議そうな顔をしていたのが、可笑しかったのか笑いながら、

「ほら、『魔の森』で君たちを助けた『忍者』だよ、あたしは」

 忍者の格好をしていなかったお姉さんは、全然 忍んで無かった。

「あたしは『ライジング・サン』の副リーダーのクリス
良かったら『友達申請』しても良いかな? 」

 ───それが、俺達とクリスの出逢いだった───
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

悲恋を気取った侯爵夫人の末路

三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵夫人のプリシアは、貴族令嬢と騎士の悲恋を描いた有名なロマンス小説のモデルとして持て囃されていた。 順風満帆だった彼女の人生は、ある日突然に終わりを告げる。 悲恋のヒロインを気取っていた彼女が犯した過ちとは──? カクヨムにも公開してます。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」 無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。 色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。 注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします! 2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。 2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました! ☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。 ☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!) ☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。 ★小説家になろう様でも公開しています。

勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。

飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。 隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。 だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。 そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

処理中です...