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10.強力な味方
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翌日、登院してすぐにルシェと生徒会室に向かった。
かなり早く登院したつもりだったが、既に殿下が仕事をしていて驚く。
殿下は三年生で生徒会長。勉強は元より、執務もある中での生徒会仕事では大変お忙しいとは思うが、毎日こんなにも早く来ているとは知らなかった。オルライト様はまだ来ていなかったから、今日が特別早いのかもしれないが。
わたしたちは昨日の放課後の一件に対する御礼に伺ったのだが、昨夜手紙で御礼をしがてら生徒会室に赴くことは伝えていたため、仕事中だったにもかかわらず、殿下は嫌な顔ひとつせずにわたしたちの話を聞いてくれた。
今は、殿下とルシェとわたしの気心のしれた幼馴染しかいないので、お互い気安い呼び名になっている。
「わざわざ、よかったのに」
「そういうわけにも参りませんわ」
「本当に大したことはしていないよ。あれからアリス嬢は知らなかっただの何だのと言い訳をしていたけど、クリスのことは理解してもらったから」
「本当にご面倒をおかけいたしましたわ。ありがとうございました」
「どうか気にしないでくれ。それはそうと、昨夜、久しぶりに父上と話をしたんだ」
早々に御礼の話を切り上げたと思ったら、陛下のお話。
陛下もお忙しいとは思っていたが、息子と会う時間も取れないほどとは。
今回は事が大きいこともあって通常業務以外の仕事も多いのだろう。
久々の王族親子の会話は、わたしを取り巻く環境と黒い噂に纏わるあれこれの話だったようだ。恐らく学院長のことも聞いたと思われる。
「私のほうこそクリスの事情も知らず、気が回らなくてすまなかった」
「アル兄様、やめてくださいませ。謝罪は必要ありませんわ」
「そうは言っても受けるだけは受けてくれ。……クリスは今後も、あの娘たち家族とは交流をしないつもりなのだな?」
「もちろんですわ」
思わず即座に肯定してしまった。
表向きは仲良くしたほうがいいのかもしれないが、父とやらは自分の要望を伝えてくるばかりで謝罪はないし、娘も失礼極まりない。
交流したらわたしの生活を乱されそうだし、案件が片付いたら出ていってもらう予定なので、心の安寧のためにも近づきたくはないのだ。
殿下は、そんなわたしの心情を憚ってくれたのか、わたしの意思を尊重してくれて、今後もフォローに回ってくれるという。恐縮しきりだが、ルシェの意向もあって引き続きお言葉に甘えることにした。
ちなみに、殿下がアリス嬢と交流があったのは単にわたしの妹だからだったようだ。変に勘繰りをしてしまって申し訳なかった。
それからは、朝は通常よりも早く登院し、授業が終わると誰よりも早く帰宅する生活を続けている。
というのも、案の定、アリス嬢がわたしに接触をしようと、邸の結界を破ろうとしたり、邸の中央門に突撃したり待ち構えているからなのだが、何度追い返されても諦めないところはある意味すごいと思う。
父とやらも抗議をしてきたらしいが、叔父が撃退した。
もちろん、アリス嬢は学院でもわたしに突撃しようと様々な手を使ってくる。
が、その時は、クラスの友人たちが盾になってくれている。
本当に申し訳ないとは思っているものの、すごく助かっているのも事実だ。
友人たちは、裏の案件までは知らないはずだが、わたしが置かれていた環境は元より、父とやらとその娘であるアリス嬢のしでかしも聞き及んでいるようで、現状について、わたし以上に怒ってくれて、味方になってくれた。
「クリスのことは、わたくしたちが守りますわ」
わたしにはルシェや殿下に友人たちという強力な味方がいることを再確認して、心が温かくなった。
かなり早く登院したつもりだったが、既に殿下が仕事をしていて驚く。
殿下は三年生で生徒会長。勉強は元より、執務もある中での生徒会仕事では大変お忙しいとは思うが、毎日こんなにも早く来ているとは知らなかった。オルライト様はまだ来ていなかったから、今日が特別早いのかもしれないが。
わたしたちは昨日の放課後の一件に対する御礼に伺ったのだが、昨夜手紙で御礼をしがてら生徒会室に赴くことは伝えていたため、仕事中だったにもかかわらず、殿下は嫌な顔ひとつせずにわたしたちの話を聞いてくれた。
今は、殿下とルシェとわたしの気心のしれた幼馴染しかいないので、お互い気安い呼び名になっている。
「わざわざ、よかったのに」
「そういうわけにも参りませんわ」
「本当に大したことはしていないよ。あれからアリス嬢は知らなかっただの何だのと言い訳をしていたけど、クリスのことは理解してもらったから」
「本当にご面倒をおかけいたしましたわ。ありがとうございました」
「どうか気にしないでくれ。それはそうと、昨夜、久しぶりに父上と話をしたんだ」
早々に御礼の話を切り上げたと思ったら、陛下のお話。
陛下もお忙しいとは思っていたが、息子と会う時間も取れないほどとは。
今回は事が大きいこともあって通常業務以外の仕事も多いのだろう。
久々の王族親子の会話は、わたしを取り巻く環境と黒い噂に纏わるあれこれの話だったようだ。恐らく学院長のことも聞いたと思われる。
「私のほうこそクリスの事情も知らず、気が回らなくてすまなかった」
「アル兄様、やめてくださいませ。謝罪は必要ありませんわ」
「そうは言っても受けるだけは受けてくれ。……クリスは今後も、あの娘たち家族とは交流をしないつもりなのだな?」
「もちろんですわ」
思わず即座に肯定してしまった。
表向きは仲良くしたほうがいいのかもしれないが、父とやらは自分の要望を伝えてくるばかりで謝罪はないし、娘も失礼極まりない。
交流したらわたしの生活を乱されそうだし、案件が片付いたら出ていってもらう予定なので、心の安寧のためにも近づきたくはないのだ。
殿下は、そんなわたしの心情を憚ってくれたのか、わたしの意思を尊重してくれて、今後もフォローに回ってくれるという。恐縮しきりだが、ルシェの意向もあって引き続きお言葉に甘えることにした。
ちなみに、殿下がアリス嬢と交流があったのは単にわたしの妹だからだったようだ。変に勘繰りをしてしまって申し訳なかった。
それからは、朝は通常よりも早く登院し、授業が終わると誰よりも早く帰宅する生活を続けている。
というのも、案の定、アリス嬢がわたしに接触をしようと、邸の結界を破ろうとしたり、邸の中央門に突撃したり待ち構えているからなのだが、何度追い返されても諦めないところはある意味すごいと思う。
父とやらも抗議をしてきたらしいが、叔父が撃退した。
もちろん、アリス嬢は学院でもわたしに突撃しようと様々な手を使ってくる。
が、その時は、クラスの友人たちが盾になってくれている。
本当に申し訳ないとは思っているものの、すごく助かっているのも事実だ。
友人たちは、裏の案件までは知らないはずだが、わたしが置かれていた環境は元より、父とやらとその娘であるアリス嬢のしでかしも聞き及んでいるようで、現状について、わたし以上に怒ってくれて、味方になってくれた。
「クリスのことは、わたくしたちが守りますわ」
わたしにはルシェや殿下に友人たちという強力な味方がいることを再確認して、心が温かくなった。
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