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本命がわたしならそれでいい

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土曜日のお昼前。
慎司が帰ってくるかわからないけれど、お昼ご飯にサバの味噌煮とエノキとワカメと絹豆腐の味噌汁とほうれん草のお浸しと金平ごぼうを用意した。
夜ご飯は今日はハンバーグにする予定だから玉ねぎを刻んで炒めてハンバーグのたねを作る。そして、マカロニサラダも作った。

いつもと同じ昼前に帰ってきた慎司は昨日居酒屋 笑民で出くわした事なんて気にしてないようで、玄関に迎えに出たわたしの唇に唇を合わせ、ディープなキスをしてくる。

昨夜、あの女性とした唇でわたしにキスをおとす。
あの女性の身体を堪能したはずなのに、わたしを抱きしめ身体を触り、寝室に連れて行く。

さすがにワンナイトLOVEを楽しんできてるから1度抜いたらおしまいで、すぐに服を着て、一緒に昼ごはんを食べる。

家事も洗濯も料理もわたしが全てしてる。
オペが詰まっていて多忙な慎司のために毎日お弁当も作ってる。

「咲花、映画でも観に行くか?咲花が毎年楽しみにしてる夏の東宝アニメが先週末に上映開始になっただろ?」

「うん。嬉しい!!」

やはり、さすがにコンパの現場を見られると罪悪感を感じるのか、わたしのご機嫌とりをする慎司。

映画を観に行くよりも、昨日の夜に寝つけなかったから抱きしめて眠らせて欲しい。

昼ご飯の片付けをした後に新宿に映画を観に行き、夜は高級鉄板焼きのお店でワインを飲みながらA5クラスの和牛とアワビとサザエを目の前でシュフに焼いて貰って頂く。
ローストビーフも注文し、満腹で眠たくなる。

でも、マンションにタクシーで戻ったら、朝方まで慎司に身体を貪られ、眠くていつも快感を通り越して別の意味で意識を失う。

土曜日の夜は、情事を楽しむ余裕なんてない。

日曜日は、慎司は午前中は勤めてる病院に回診へ行き、帰ってきてからお昼ご飯を食べた後にスポーツジムへ行く。そして、夜まで帰ってこない。

朝7時に起きて、朝ごはんとお昼ご飯の下ごしらえをし、7時半に起きてきた慎司と朝ごはんを食べ、8時に慎司が家を出るのを見送る。

その後、布団のシーツを変え、晴れてたら布団を干す。
平日にできない掃除をして、慎司が帰ってきてお昼ご飯を食べてからスポーツジムに出かけた後に、わたしも自分の時間を楽しむ。

『……よくそこまで奉仕できるよ』
『性奉仕つきお手伝いさん』

親友達から哀れみの目を向けられる。

それでもわたしは、慎司と1つ屋根の下で暮らせるだけで幸せだった。



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