カモフレ

鳴宮鶉子

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キスフレ……もはやカモフレじゃない

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「おはよう、一花」

なかなか慣れない。目覚めたら、神々しいぐらいに美しい男に抱きしめられてる。
そして、おでこと頬っぺたにキスを落とされる。

季節は12月でエアコンをつけていても寒い。
抱き合って眠って、温もりを感じてる。

カモフレ……、どこまでが許容範囲なのか。
おでこや頬っぺたのキスだけでなく、最近、耳裏や首筋にキスをされ、思わず甘い声が出てしまう。

「理人、カモフレで恋人同士じゃないんだから、限度をわきまえて!!」

「仕事が多忙過ぎて恋人なんて作れないし、いいだろ。最後までやってないし」

抱きしめられて眠りつく時と、朝目覚める時、理人の女にはついてない物が勃っていて、それがわたしの足の付け根に当たっていて困る。

夜中にわたしの体を触ってるのを気づいてないフリしてる。
胸に吸い付いたりしてる。
理人はわたしが気づいてないと思ってるけど……。

男という性は大変だなと家賃も光熱費も食費も全て理人が払ってくれて、わたしはタダで六本木のタワーマンションの最上階に住まわせて貰ってるから文句は言わない事にした。

会社が徒歩5分圏内にあり、地下に食品スーパーとクリーニング屋があるのは助かる。

下着以外は全てクリーニングに出し、日中家にいないから部屋も汚れなくて、家事もあまりしてない。

「一花、大学の友人達に一花紹介したいから、金曜日、仕事が終わった後、飲み会に付き合って」

2日前の水曜日、寝る前に理人に言われた。
理人は同期だけど、東大修士卒でわたしより6歳年上。

優秀すぎる理人の友人はやはり優秀過ぎた。
ソミーやトミタの大手企業のエンジニアだった。

「須賀、まだ解放されないのか?5年の約束だろ?」

「3月いっぱいに本業に専念するつもり」

「そうか、軌道に乗ったら呼べよ。手伝うから」

話の内容についていけないわたし。

タワーマンションの最上階に住んで、週末は高級料亭や三つ星フレンチやイタリアンの店に連れて行ってくれる理人。

金の出所が気になってた。

神崎テクノロジーだけの給料だけだと主任クラスでも年収は700万円満たない。

話の内容から、理人は大学時代にIT企業を興し社長をしながら、母の弟が社長をしている神崎テクノロジーで働いてたらしい。

理人が親友5人と楽しそうに話してるのを隣で聞いていて、虚しくなり、塞ぎ込んでた。

高専卒のわたしには挑戦できない仕事に従事してる学歴エリートな6人。

だらだら時間を過ごす達ではなく、2時間で飲み会は終わり、理人とマンションに戻る。

呑んで上機嫌な理人と呑んで不機嫌なわたし。

家に帰り、お酒を飲んでるから今日はシャワーで済ませ、寝室に入ろうとした。

先にシャワーを済ませた理人がわたしがシャワーを浴びてリビングへ行くと、施錠された開かずの間にわたしを呼んだ。

中に入ると高性能はパソコンが5台とスキャナー付き印刷機、音響機器があった。

1台のパソコンが立ち上げられていて、8年ほど前に開設されたインターネットサイトが開かれてた。


「これ、俺が大学時代に開設したんだ。神崎テクノロジーに入社する前に六本木にオフィス借りて20人の従業員雇ってサイトを運営してる。
で、今日の飲み会メンバーは一緒にサイトを立ち上げたメンバー。
勉強かねて、大学卒業してから就職し、5年後ぐらいにまた らいぶあめばに戻ってこようと話してた。
3月いっぱいで俺、神崎テクノロジーを退職する。
一花、ついてきて欲しい」

らいぶあめば 、検索エンジンをはじめとしたポータルサイトの運営企業で若者中心に活用されてる。
東大に通ってる学生が6人で作り上げたと言ってた。

酔ってるからか理人は神崎テクノロジーに入社した経緯を話してくれた。
理人にパソコンを教えてくれたのが母親の弟で神崎テクノロジーの社長で、会社が傾いていたから助けるために5年間だけ社員として働く事にしたらしい。

神崎テクノロジーは理人のおかげで、大きな案件も手がけ、赤字から黒字になって、エンジニアの腕も育った。

「……わたしもらいぶあめばに行っていいの?」

「あぁ、一花は俺の片腕でカモフレだ。ずっと俺の側にいてくれ」
そういうと理人に抱きしめられ、唇を唇で塞がれた。

唇を合わせる啄ばむだけのキスから、舌を入れ込まれ、唾液を絡め合わせて飲み込む濃厚なキスに酔ってしまう。

「……一花、キスするのは許して」
それから、わたしは寝起きと出勤前、帰宅後と寝る前に、理人に口内を犯される。
時々、社内でもキスをしてくるのは困ってる。

カモフレはキスもするらしいけと、これは限度が超えてる。

ソフレでキスフレの関係になってしまった。





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