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ワーカーホリックな日常
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「杉瀬さん、すみません。ご迷惑をおかけしました」
「気にしないで!!解決したから、大丈夫」
徹夜でネットワークゲーム業界の最大手である株式会社バンダンナミコエンターテインメントから依頼を受けたゲーム系Webサイトの新作ゲームアプリのプログラムを書き換えた。
目の下くま子、でなく、杉瀬莉愛 25歳。
情報システムの高専を卒業後、システム会社の下請け会社という過酷極まりないブラック企業に勤務して5年が経った。
大企業からシステムコンサルティング業務 にクラウドサーバー(AWS・GCP)の構築・保守 、Webシステムの企画・設計・開発・運用 とiOS/Android向けアプリの企画・設計・開発・運用 、業務用システムの企画・設計・開発・運用 などの付帯するソフトウェア保守・移管 を委託してる。
納期や仕様にかなり無理難題を言われ、徹夜当たり前。
納品後にクライアントから仕様変更されこちらのミスと罵られても頭をペコペコしないといけない理不尽さ。
ーー下請け会社だから仕方がない。
株式会社バンダンナミコエンターテインメントのギャンダムのゲームプロデューサーはいつもそう。
納品後に『要求仕様と違う』とクレームがきて、最高責任者のPMを勤めてる須藤さんとアシスタントの私は頭を下げにいき、1日で変更箇所を書き換えて再提出してきた。
社に戻ってきた私の所に、プロジェクトを任せてたチームDの田沢PLが申し訳なさそうに謝罪しにきた。
要求仕様の確認書通りに設計していたから、クライアント先の横暴だと目に見て分かる。
自分のミスではないという証明で確認書にサインを貰ってるから始末書にはならないけど、下請けシステム開発会社の定めと言うか、いつも大企業に振り回されて嫌になる。
「須藤PMはかなり機嫌が悪かったですが……」
「……過密スケジュールの中で時間調整をしてバンダンナミコエンターテインメントまで納品しに行ったからね。今日はその後グーグレにアポがあったからね」
バンダンナミコエンターテインメントに朝イチの9時に納品へ行き、30分ぐらいで戻ってくる予定だった。
それが話が長い斉藤専務が出てきて1時間捕まってしまい、チームAに同行して11時にアポとりしてるグーグレに遅れそうになった。
だから、オフィスに戻ってきて不機嫌極まりなくチームAのPLの津山さんを脅えさせてた。
「鬼の居ぬ間の束の間の休息だけど、今休むと後が大変になるから仕事しようか……」
就業時間内はチームA~Gまでの7チームのヒアリングの同行、もしくはハードを発注してるメーカーへ行ってるから須藤さんは基本的に社にはいない。
下請けシステム開発会社に就業時間はあってもないもので、就業時間以降が鬼の期間で死に物ぬぐいで仕事をさせられる。
パソコンを4台起動させて、仕上がってるプログラムの確認と須藤さんが引き受けた複雑なシステムのプログラムを黙々と組んでいく。
「杉瀬、各チームの進行状況は順調か?」
午後6時半、鬼でなく須藤さんが帰社し、オフィス内にブリザードな空気が漂う。
「順調……です」
と私が答えるも、須藤さんは各チームの山を回ってできあがってるプログラムを確認していく。
「……チームCとEが遅れてるな。後、Gが組んでるシステムの動作が重い」
かなり細かく厳しくチェックされ、指摘されたチームはそこを直し、進行が遅いチームは指示された所まで終わらせないと帰れない。
ブラック企業だから、労働基準法なんて関係ない。
納期に遅れたり、納品したシステムのクオリティーが悪いと仕事を任せて貰えなくなる。
今日も須藤さんがPMを務めるプロジェクトチームは徹夜明けのメンバー以外は全員深夜もしくは徹夜で残業する事になった。
ちなみにわたしは徹夜明けだけど帰れない……。
「杉瀬、これ、至急宜しく」
ヒアリングで取りまとめた依頼者からの“要求定義”が細かく書かれた仕様書をポンと渡され、“外部設計”いわゆるシステムの枠組み、インターフェースやシステムの流れを決める部分を作成するよう指示される。
自分が帰れないからと私を巻き添えにし残業をさせる須藤さんは、鬼畜だ……。
「気にしないで!!解決したから、大丈夫」
徹夜でネットワークゲーム業界の最大手である株式会社バンダンナミコエンターテインメントから依頼を受けたゲーム系Webサイトの新作ゲームアプリのプログラムを書き換えた。
目の下くま子、でなく、杉瀬莉愛 25歳。
情報システムの高専を卒業後、システム会社の下請け会社という過酷極まりないブラック企業に勤務して5年が経った。
大企業からシステムコンサルティング業務 にクラウドサーバー(AWS・GCP)の構築・保守 、Webシステムの企画・設計・開発・運用 とiOS/Android向けアプリの企画・設計・開発・運用 、業務用システムの企画・設計・開発・運用 などの付帯するソフトウェア保守・移管 を委託してる。
納期や仕様にかなり無理難題を言われ、徹夜当たり前。
納品後にクライアントから仕様変更されこちらのミスと罵られても頭をペコペコしないといけない理不尽さ。
ーー下請け会社だから仕方がない。
株式会社バンダンナミコエンターテインメントのギャンダムのゲームプロデューサーはいつもそう。
納品後に『要求仕様と違う』とクレームがきて、最高責任者のPMを勤めてる須藤さんとアシスタントの私は頭を下げにいき、1日で変更箇所を書き換えて再提出してきた。
社に戻ってきた私の所に、プロジェクトを任せてたチームDの田沢PLが申し訳なさそうに謝罪しにきた。
要求仕様の確認書通りに設計していたから、クライアント先の横暴だと目に見て分かる。
自分のミスではないという証明で確認書にサインを貰ってるから始末書にはならないけど、下請けシステム開発会社の定めと言うか、いつも大企業に振り回されて嫌になる。
「須藤PMはかなり機嫌が悪かったですが……」
「……過密スケジュールの中で時間調整をしてバンダンナミコエンターテインメントまで納品しに行ったからね。今日はその後グーグレにアポがあったからね」
バンダンナミコエンターテインメントに朝イチの9時に納品へ行き、30分ぐらいで戻ってくる予定だった。
それが話が長い斉藤専務が出てきて1時間捕まってしまい、チームAに同行して11時にアポとりしてるグーグレに遅れそうになった。
だから、オフィスに戻ってきて不機嫌極まりなくチームAのPLの津山さんを脅えさせてた。
「鬼の居ぬ間の束の間の休息だけど、今休むと後が大変になるから仕事しようか……」
就業時間内はチームA~Gまでの7チームのヒアリングの同行、もしくはハードを発注してるメーカーへ行ってるから須藤さんは基本的に社にはいない。
下請けシステム開発会社に就業時間はあってもないもので、就業時間以降が鬼の期間で死に物ぬぐいで仕事をさせられる。
パソコンを4台起動させて、仕上がってるプログラムの確認と須藤さんが引き受けた複雑なシステムのプログラムを黙々と組んでいく。
「杉瀬、各チームの進行状況は順調か?」
午後6時半、鬼でなく須藤さんが帰社し、オフィス内にブリザードな空気が漂う。
「順調……です」
と私が答えるも、須藤さんは各チームの山を回ってできあがってるプログラムを確認していく。
「……チームCとEが遅れてるな。後、Gが組んでるシステムの動作が重い」
かなり細かく厳しくチェックされ、指摘されたチームはそこを直し、進行が遅いチームは指示された所まで終わらせないと帰れない。
ブラック企業だから、労働基準法なんて関係ない。
納期に遅れたり、納品したシステムのクオリティーが悪いと仕事を任せて貰えなくなる。
今日も須藤さんがPMを務めるプロジェクトチームは徹夜明けのメンバー以外は全員深夜もしくは徹夜で残業する事になった。
ちなみにわたしは徹夜明けだけど帰れない……。
「杉瀬、これ、至急宜しく」
ヒアリングで取りまとめた依頼者からの“要求定義”が細かく書かれた仕様書をポンと渡され、“外部設計”いわゆるシステムの枠組み、インターフェースやシステムの流れを決める部分を作成するよう指示される。
自分が帰れないからと私を巻き添えにし残業をさせる須藤さんは、鬼畜だ……。
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