身代わりにしてゴメンね

鳴宮鶉子

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まさかの妊娠

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4月に常務取締役に就任した創真。

意匠設計士の仕事もそのまま兼務する事になり、多忙極まりない。
創真から建築図書の作成を任されるようになり、わたしも毎日早朝から深夜遅くまで創真と専務室で仕事をした。

「……咲愛、気分転換にさせて」

深夜に2人こもって事務的な仕事をこなしてると、創真の悪い虫が活動を始める。

パソコン入力を辞めてわたしにまとわりつき、
「……5分で終わらせるから」
と応接セットの2人がけソファーにわたしを組み敷き、唇に濃厚なキスをしてきて、大きな掌で身体中を這わされた後に秘部に長い指を入れられたら、感じてしまい降参してしまう。

わたしから許しを得たら、すぐに創真は鞄から避妊具をだしてきて、装着し、すぐにわたしのナカに割り入れ、強く腰を打ちつけ、果てる。

仕事が多忙すぎて、最近は毎日、服を乱さずに短時間で終わらせてる。

「早く日曜日にならないかなーー!!」
日曜日は接待以外の仕事は休みで、創真と家にこもって三大欲求の食欲、睡眠欲、性欲を発散させてた。


7月の初旬。
仕事が多忙すぎるからか、体調を崩し、創真に1週間会社を休むよう言われたわたし。
最近、無性に眠く、そして吐き気がして、腰痛に際悩まされてる。

「咲愛ちゃん、体調大丈夫?」
3ヶ月の息子 将輝くんを連れて麗華ちゃんが遊びにきてくれた。

「将生くん、大きくなったねーー!!」
「でしょ!!3ヶ月目で7キロだよー。もう首も座って、可愛くて堪らない!!」

にこにこ笑顔の将輝くん。
小さくて温かくて、無邪気に笑う姿が可愛くて癒される。

「……咲愛ちゃん、体調不良と聞いたけど、大丈夫!?仕事が多忙すぎて倒れたって聞いたけど!!」

「……睡眠不足とストレスで胃がやられただけ。後、椅子に座ったままだからか腰が痛くて、しばらく自宅安静してたらよくなると思う」

6時半出勤の深夜1時半退社は流石に身体にきつかった。
とはいえ、1週間自宅安静をしていても一向によくならず、吐き気が酷く、創真のキスされてトイレに吐きに走り、それ以降は創真はキスどころか身体関係も求めてこなくなった……。

「……ねぇ、それって、妊娠じゃない!?わたしも将輝を妊娠した時、そんな感じだった!!あっ、妊娠検査薬が余ってるからあげる。ふふっ、咲愛ちゃんが妊娠してたら将輝と同い年の子のママ友になるから嬉しいな」

わたしが妊娠してると決めつけ、嬉しそうな麗華ちゃん。

避妊はしてる。だから、妊娠はしてないと思いたい。
でも、ナカに出さないからとやらかしてとりはして、絶対に妊娠してないとは言えなかった。

仕事中は、外だしで避妊具をつけない時もあった……。

16時過ぎに夕飯の支度があるからと麗華ちゃんが帰り、麗華ちゃんに渡された妊娠検査薬の箱を見つめ、検査するかわたしは悩んだ。

妊娠してないとわかれば安心できると検査薬を手にし、トイレに向かう。

避妊に関して、創真に気をつけてといつもお願いしてた。


「………えっ、…なんで 」

仕事が多忙で体調を崩したと思いたかった。
それが……まさかの、くっきり縦線が入った陽性反応だった。

わたしのお腹の中に赤ちゃんがいる事実……。
そういえば、先月、女の子の日がなかった事に気づく。

お腹の中にいる以上、産むしかない。
でも、子供を産んで育てる自信もなく、仕事もセーブしないといけない。


午前2時に仕事から帰ってきた創真に無言で妊娠検査薬を見せた。

「……妊娠したのか」
妊娠検査薬の箱の後ろの説明書きを読み、創真はわたしが妊娠してる事を知る。

「………産んで…育ててくれるよな?」
わたしが創真にまだ子供を持ちたくない事を常に話してるからか、聞かれた。

堕ろす気はない。でも、創真に裏切られた感を感じ、創真と夫婦として寄り添っていきたくなかった。


「……創真の事、信用できない。子供は産むしかないけど、創真とはやっていけないから、ここから出ていく。仕事も辞める。わたしに…もう、関わらないで」

「ーー ハっ、なんで、そうなる。咲愛がまだ子供を持ちたくないのはわかってたから気をつけてた。
子育てをしながら仕事が続けられるよう協力するし、子供に関して俺も手伝う。
だから、そんな事を言わないで欲しい」

そういってわたしを抱きしめようとする創真から後ずさりをして逃げた。

無理矢理わたしを抱きしめようとはしなかったから、客間に逃げ内鍵をかあけ、そのままシングルベッドに寝転んで眠る事にした。

それから、わたしは客間に立てこもり、創真を拒絶する生活を送った。

早朝から深夜まで働いてるから、帰宅して居る時間帯にわたしは寝ているから出くわす事はない。

日曜日も接待ゴルフか何かで創真がでかけてくれてたから助かった。

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