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許婚と過ごした青春時代
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「……お腹、出てきたね」
「6ヶ月目に入ったからね」
土曜日の昼下がり、創真の兄嫁の麗華ちゃんと銀座のカフェで待ち合わせをして一緒にランチをとる。
桜蘭女子中高一貫校の同級生で、親友とまではいかないけれど、たまに会ってランチしたり飲みに行ったり、エステの体験やスパに行ったりする間柄。
「仕事は辞めたの?」」
「通訳と翻訳だから続けてるよ。家にいても暇だから」
麗華ちゃんは英語と韓国語はペラペラで中国語とフランス語、ドイツ語も日常会話で困らないぐらいに話せる。
優志さんの役に立ちたいと、麗華ちゃんは語学を勉強し、海外から来られた客人に対する通訳を務めてる。
「産後も、通訳が必要な時はお義母さんにこの子を預かって貰って通訳を引き受けるつもり。あっ、咲愛ちゃんはお正月、いつ、永倉の実家に顔出す?」
「2日の予定かな。…元旦はわたしの実家に顔を出す事になってるから」
「じゃ、わたしも2日に新年の挨拶に行こうかな」
できたら新年の挨拶は日にちをずらしたい。
結婚して子供を身ごもってる麗華ちゃん。
わたしは創真とまだ結婚する気もなく子供も作る気はない。
創真のご両親からは結婚についての催促はされないけど、わたしの両親からは会うたびにされてる。
ひとりっこで娘なわたし。
父は初瀬工コーポレーションを優秀な創真に継がせるために、わたしとの縁談を創真の両親に持ちかけた。
創真は幼年期の頃から賢すぎるぐらいに賢くて、全国模試でいつめ満点首位だけでなく、数学オリンピック、科学オリンピックなどの科学五輪でも金賞を取ってる頭脳明晰で成績優秀な人。
同い年だから幼稚園から私立大学の初等科までの9年間、常にわたしは創真の隣にいた。
勉強だけでなくスポーツも万能な創真とできの違いについて父と母から比べられて嫌な思いをした。
母がわたしを妊娠した時に卵巣癌を患ってるとわかりすぐに切除したため、わたしには兄弟がいない。
跡取りのわたしは女で、しかもそこまで賢くないから、初瀬工工コーポレーションの後継に相応しくない。
創真がわたしの夫となり、初瀬工コーポレーションを継いでくれる事には感謝してる。
中学1年の3月に、わたしは創真と許婚になった。
わたしは、過酷な受験勉強を乗り越え最難関の中高一貫女子校に合格したけど、ホッとする間もなく鉄緑に入塾し、勉強漬けの日々を過ごしてた。
学校は違えど、放課後に鉄緑で創真と顔を合わせ、授業の後に勉強を教えて貰ってた。
「ーーこんな問題もできないんだ!!アホだろ!!」
全国模試で飛び級受験で受けた高1のテストを涼しい顔して満点首位をとる創真。
一応、わたしは模試でトップ20には入ってた。
でも、賢すぎる創真が身近にいるから、父と母にわたしも飛び級受験をし、それでトップをとるよう言われ、かなり困った。
父と創真の父が仲がいいのもあり、週末にホテル ナカクラの三つ星レストランで一緒にディナーをとったり、家族ぐるみで連休に旅行に行ってた。
優秀すぎる創真にバカにされるのが嫌だった。
優志さんに惹かれたのは、いつも落ち込んでるわたしを慰めてくれたから。
できない問題を創真にバカにされ、ムキになって解いてたら、優しく解法を教えてくれた。
優志さんも創真ほどではないけど、学年相当の勉強に関しては常に首位で、創真と違って、人当たりがいい才徳兼備な人だった。
小学校4年の時に、模試でトップ20に入れなくて、塾の帰りに、母から激怒された。
その時に、優志さんがわたしを慰めてくれて、わたしは優志さんに恋心を抱いた。
初恋は3年後の11月に、砕けた。
優志さんに、元皇族で全国各地に土地を持つ一族の御令嬢の黒川麗華ちゃんとの婚約が決まった。
麗華と婚約をしてからは、麗華ちゃんとわたしが同級生なのもあり、優志さんか距離を置かれ、昔みたいに優しくして貰えなくなり、悲しくて塞ぎ込んだ事を覚えてる。
3ヶ月後に、水面下で父親同士が話し合いを進め、わたしは創真と婚約する事になった。
優志さんでなく、創真がわたしの婚約者に当てがられた事に絶望した。
でも、父は優秀な創真を婿養子に迎えられて嬉しそうだった。
わたしが優志さんに恋心を抱いてた事に気付いてた創真に、無理矢理女にされたのもその時だった。
「優志と俺、顔はそっくりだし、俺いいじゃん。俺の方が優志より秀でてる」
許婚にされてから、親公認で付き合わされ、勉強ができないわたしに勉強を教えるために、創真がわたしのうちに入り浸った。
ベッドに組み敷かれ、性的欲求を発散してたから、わたしの成績は上がる事はなかった。
父と母も、創真が初瀬工コーポレーションを継ぐ事が決まり、わたしの成績について何も言わなくなった。
そんな父と母をぎゃふんと言わせたくて、わたしは京都大学の建築科に進学した。
でも、父と母は、わたしが京都大学の建築科に合格した事より、創真と京都で一緒にキャンパスライフを送る事にホッとしてた。
わたしは父と母から何も期待されなくなった。
父と母は、優秀な婿養子の創真に期待をしてた。
わたしは、両親から、創真と結婚して、跡取りを産む事しか期待されてない。
「6ヶ月目に入ったからね」
土曜日の昼下がり、創真の兄嫁の麗華ちゃんと銀座のカフェで待ち合わせをして一緒にランチをとる。
桜蘭女子中高一貫校の同級生で、親友とまではいかないけれど、たまに会ってランチしたり飲みに行ったり、エステの体験やスパに行ったりする間柄。
「仕事は辞めたの?」」
「通訳と翻訳だから続けてるよ。家にいても暇だから」
麗華ちゃんは英語と韓国語はペラペラで中国語とフランス語、ドイツ語も日常会話で困らないぐらいに話せる。
優志さんの役に立ちたいと、麗華ちゃんは語学を勉強し、海外から来られた客人に対する通訳を務めてる。
「産後も、通訳が必要な時はお義母さんにこの子を預かって貰って通訳を引き受けるつもり。あっ、咲愛ちゃんはお正月、いつ、永倉の実家に顔出す?」
「2日の予定かな。…元旦はわたしの実家に顔を出す事になってるから」
「じゃ、わたしも2日に新年の挨拶に行こうかな」
できたら新年の挨拶は日にちをずらしたい。
結婚して子供を身ごもってる麗華ちゃん。
わたしは創真とまだ結婚する気もなく子供も作る気はない。
創真のご両親からは結婚についての催促はされないけど、わたしの両親からは会うたびにされてる。
ひとりっこで娘なわたし。
父は初瀬工コーポレーションを優秀な創真に継がせるために、わたしとの縁談を創真の両親に持ちかけた。
創真は幼年期の頃から賢すぎるぐらいに賢くて、全国模試でいつめ満点首位だけでなく、数学オリンピック、科学オリンピックなどの科学五輪でも金賞を取ってる頭脳明晰で成績優秀な人。
同い年だから幼稚園から私立大学の初等科までの9年間、常にわたしは創真の隣にいた。
勉強だけでなくスポーツも万能な創真とできの違いについて父と母から比べられて嫌な思いをした。
母がわたしを妊娠した時に卵巣癌を患ってるとわかりすぐに切除したため、わたしには兄弟がいない。
跡取りのわたしは女で、しかもそこまで賢くないから、初瀬工工コーポレーションの後継に相応しくない。
創真がわたしの夫となり、初瀬工コーポレーションを継いでくれる事には感謝してる。
中学1年の3月に、わたしは創真と許婚になった。
わたしは、過酷な受験勉強を乗り越え最難関の中高一貫女子校に合格したけど、ホッとする間もなく鉄緑に入塾し、勉強漬けの日々を過ごしてた。
学校は違えど、放課後に鉄緑で創真と顔を合わせ、授業の後に勉強を教えて貰ってた。
「ーーこんな問題もできないんだ!!アホだろ!!」
全国模試で飛び級受験で受けた高1のテストを涼しい顔して満点首位をとる創真。
一応、わたしは模試でトップ20には入ってた。
でも、賢すぎる創真が身近にいるから、父と母にわたしも飛び級受験をし、それでトップをとるよう言われ、かなり困った。
父と創真の父が仲がいいのもあり、週末にホテル ナカクラの三つ星レストランで一緒にディナーをとったり、家族ぐるみで連休に旅行に行ってた。
優秀すぎる創真にバカにされるのが嫌だった。
優志さんに惹かれたのは、いつも落ち込んでるわたしを慰めてくれたから。
できない問題を創真にバカにされ、ムキになって解いてたら、優しく解法を教えてくれた。
優志さんも創真ほどではないけど、学年相当の勉強に関しては常に首位で、創真と違って、人当たりがいい才徳兼備な人だった。
小学校4年の時に、模試でトップ20に入れなくて、塾の帰りに、母から激怒された。
その時に、優志さんがわたしを慰めてくれて、わたしは優志さんに恋心を抱いた。
初恋は3年後の11月に、砕けた。
優志さんに、元皇族で全国各地に土地を持つ一族の御令嬢の黒川麗華ちゃんとの婚約が決まった。
麗華と婚約をしてからは、麗華ちゃんとわたしが同級生なのもあり、優志さんか距離を置かれ、昔みたいに優しくして貰えなくなり、悲しくて塞ぎ込んだ事を覚えてる。
3ヶ月後に、水面下で父親同士が話し合いを進め、わたしは創真と婚約する事になった。
優志さんでなく、創真がわたしの婚約者に当てがられた事に絶望した。
でも、父は優秀な創真を婿養子に迎えられて嬉しそうだった。
わたしが優志さんに恋心を抱いてた事に気付いてた創真に、無理矢理女にされたのもその時だった。
「優志と俺、顔はそっくりだし、俺いいじゃん。俺の方が優志より秀でてる」
許婚にされてから、親公認で付き合わされ、勉強ができないわたしに勉強を教えるために、創真がわたしのうちに入り浸った。
ベッドに組み敷かれ、性的欲求を発散してたから、わたしの成績は上がる事はなかった。
父と母も、創真が初瀬工コーポレーションを継ぐ事が決まり、わたしの成績について何も言わなくなった。
そんな父と母をぎゃふんと言わせたくて、わたしは京都大学の建築科に進学した。
でも、父と母は、わたしが京都大学の建築科に合格した事より、創真と京都で一緒にキャンパスライフを送る事にホッとしてた。
わたしは父と母から何も期待されなくなった。
父と母は、優秀な婿養子の創真に期待をしてた。
わたしは、両親から、創真と結婚して、跡取りを産む事しか期待されてない。
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