上 下
4 / 22

出て行ってしまった夫と初めてできた親友

しおりを挟む
『旦那に、……事実を全て話したから』

誠司くんと翔真が2人でBARでサシ飲みした夜。
内容が気になり、心配で眠れない私を気遣い、翔真が解散後に電話をかけてきた。

着信拒否設定をしてるから、会社の電話でかけてくれて、わざわざそこまでしてくれた彼に感謝する。

「……全てって、大学時代に私と翔真が付き合ってた事も?」

『あぁ、……話さないと、玲香が真宮を誑かし、不倫関係を持ち、子供ができるもすぐに堕した理由を、理解して貰えないからな』

誠司くんは相当ショックを受けてたらしい。
お酒に強くないのに、ブランデーやウィスキーをロックで飲みまくってたらしく、酔い潰れてしまい、ボーイに手を貸して貰い、ホテルの部屋に置いてきたと翔真に言われた。

誠司くんは、本気で玲香さんの事を愛してた。
だけど、彼女は私に対する恨みから、誠司くんを誑かした。

誠司くんは、この日から家に帰ってきていない。
仕事にも行ってない。

眠れない日が1週間続き、食欲がわかず、飲み物も喉に通らず、ただ、無心に仕事をこなしてた。



****

「だ、大丈夫ですか!!」

ゴミ捨てで久しぶりに部屋から出て歩いたからか、頭がくらくらとする。
隣人の香坂伽音さんとエレベーターに乗り、昇る揺れでバランスを崩し、倒れてしまい、小柄な彼女に覆い被されってしまった。

なんとか体勢を戻そうとするも、……動かない。

香坂伽音さんは、赤の他人の私を家に入れてくれて、ソファーに寝かせてくれた。
そして、kittyに電話をかけてくれて、相馬社長を呼んでくれて、救急病院に連れて行ってくれた。

貧血に栄養失調に、脱水症状に、まさかの流産。

可能性は低いけど、誠司くんとの子供が欲しくて、こっそり試していたシリンジ法で妊娠できた。
だけど、……流産してしまった。

「真宮にLINEメッセージを何度も送ったが、既読にもならない。電源落ちしてるか、切ってるな」

慕ってる相葉社長が誠司くんにLINEを送っても、反応は無い。

「凛花さん、成城石田の惣菜、一緒に食べよう。こういう時は食べるに限る」

トマトとモッツァレラチーズの鶏焼売に、スモークサーモンスライス、ワインに合いそうな惣菜を買ってきてくれて、私にすすめてきた。

「りんご酢ときび糖仕立てのキャロットラペなら、あっさりしてるから食べれる?私、成城石田の惣菜、好きなの!!」

マサチューセッツ博士卒でMBA/MOTを取得している才女の香坂伽音さん。
経歴からお堅い人に感じていたけど、彼女は見た目通りの可愛い人だった。

リスが口に木の実を頬張るみたいに、焼売を小さな口でひとくちで食べた。
スゴく、可愛い。

食欲なかったけど、彼女が食べてる姿を見てると湧いてきた。
一緒に成城石田の惣菜を頬張る。

「ワインに合うんだよ。退院したら一緒におうち飲み会しよう。美味しいワイン、取り寄せてるから!!」

入院中、伽音ちゃんは午前中に毎日来てくれて、お昼過ぎまで居てくれた。

退院してマンションに戻ると、誠司くんの私物が全てなくなっていて、ダイニングテーブルの上に、離婚届が置いてあった。

kittyに電話をかけると相葉社長に取り付がれ、誠司くんが会社に辞表を送ってきた事を伝えられた。

誠司くんは、相葉社長にも何も言わず、行方を晦ませた。

誠司くんが私の元から去り、孤独感に苛まれて塞ぎ込みそうな私を、伽音ちゃんと、伽音ちゃんの愛息子の頼翔くんが側に居て、支えてくれた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

友情結婚してみたら溺愛されてる件

鳴宮鶉子
恋愛
幼馴染で元カレの彼と友情結婚したら、溺愛されてる?

彼氏が完璧すぎるから別れたい

しおだだ
恋愛
月奈(ユエナ)は恋人と別れたいと思っている。 なぜなら彼はイケメンでやさしくて有能だから。そんな相手は荷が重い。

冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました

せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜 神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。 舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。 専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。 そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。 さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。 その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。 海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。 会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。 一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。 再会の日は……。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

ご褒美

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
彼にいじわるして。 いつも口から出る言葉を待つ。 「お仕置きだね」 毎回、されるお仕置きにわくわくして。 悪戯をするのだけれど、今日は……。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

婚約破棄を突きつけに行ったら犬猿の仲の婚約者が私でオナニーしてた

Adria
恋愛
最近喧嘩ばかりな婚約者が、高級ホテルの入り口で見知らぬ女性と楽しそうに話して中に入っていった。それを見た私は彼との婚約を破棄して別れることを決意し、彼の家に乗り込む。でもそこで見たのは、切なそうに私の名前を呼びながらオナニーしている彼だった。 イラスト:樹史桜様

処理中です...