5 / 9
幼馴染からの提案
しおりを挟む
わたしがトヨタエリート三銃士と仲が良いからと女性社員からの悪質な偽りの噂に悩まされる日々。
会社は仕事をしに行く所だから気にはしてない。
技術系オフィスビルには女性社員はあまりいなくて、いても派遣のCADオペレーターか各部署にいる事務職の子。
半導体デバイス課は事務員が2人女性社員がいるだけで、後はわたし以外は男性社員。
だから、部署内では特に問題無く仕事がこなせた。
「……ECUに問題があったか。原因がわかったからそこを修正したら完了だな……」
長谷川主任と一緒に半導体デバイス設計課に戻ってきた律兄が呟く。
「ECU設計課、わかってるやつ居ないな。できるやつがいないの問題だろ。昨年までは高度な設計をしてたのに、ここ最近エラー出しまくりだろ」
長谷川主任はずっとECU設計課にこもってた。
かなり酷かったらしく、呆れてるようだった。
「できる人間をECU設計に入れる人事に口出すか?さすがにあれはないわ……」
律兄が長谷川さんの意見に同調する。
律兄と長谷川主任はECU設計課に苛立ちを感じてるようで、苦言を言い続ける。
「責任者の真島係長が1番わかってないのが問題だろ」
「責任者になって3年らしいけど去年までできてた事ができないっておかしいよな」
長谷川主任が拓哉の知識の無さを問題視し、律兄も去年と今年のECUの精度の違いを疑問視してた。
昨年までは最終的にわたしが訂正していたから形になってた……。
わたしが最終的にECUプログラムや部品を設計してた。
「今回は俺が全て訂正入れたけど、今後の事を考えると昨年までにECU設計にいた優秀な人材をECU設計課に呼び寄せて貰わないと、今後、任せられないよな」
「確かにな……」
長谷川主任のダメ出しぶりから、今のECU設計課の造り出すECUは相当マズイのだろう……。
「真島主任、宮瀬さんの元婚約者ですよね。宮瀬さんが真島主任の代わりに仕事をしてたって噂で聞きました。やっぱりあの人、仕事ができないんだ……」
新入社員で空気の読めない中津くんが律兄と長谷川主任の話の中に入る。
律兄は、女性社員からわたしが婚約してた相手から他の女性との間に子供ができたからと捨てられた事を知ってる。
その相手が、仕事ができないと2人が今罵ってる拓哉と知られたのが恥ずかしかった……。
律兄は必要ない話については気になってもスルーする。
だから中津くんが話した事も、一瞬目を見開き固まったけれど、何も反応しなかった。
次の日の水曜日、律兄との恒例の飲み会。
律兄に婚約していた人の事を知られ気まずいけれど、仕事が終わってから家にいったん帰って着替えてメイクを直して待ち合わせ場所の知立駅前に行く。
律兄は今日は少し遅れて到着した。
そして、今日は個室の大人の雰囲気の居酒屋に連れて行ってくれた。
「理愛、今日は仕事について少し話していいか?」
料理とお酒を注文し、個室に運ばれた後に、律兄が言いにくそうな表情を浮かべながら、口を開く。
「来月から、理愛をECU設計課の主任として戻す。そして、半導体デバイス設計課に真島係長を異動させる」
律兄の言葉にポカンとしてしまうわたし……。
「半導体デバイス設計課がデンタではエリートコースと思われてるが俺はECUの方が半導体デバイスより高度で重要な仕事だと思ってる。不具合でリコールが出る原因がECUだったりする。だから、ECU設計をできる人間にやって貰いたい。真島係長に関しては他の社員からの聞き取りから、理愛が半導体デバイス設計課に異動してから真面目に仕事に取り組んで無かったらしい。婚約している彼女が出世コースに乗ったのを僻んだんだろう……。でも、元々知識は無く、理愛がいたから係長になれた男だ」
律兄はわたしの目を見ず、ビールのジョッキを見つめながら言った。
「後、俺がデンタに出向するのは来月いっぱいまでだ。それ以降は長谷川と藤堂は2ヶ月先までいる予定だが、共同開発する半導体デバイスが完成したら撤収する。……理愛と一緒に仕事ができるは後、1ヶ月半か。でだ、理愛にもう一つ提案がある」
そう言うと、律兄がわたしに真剣な眼差しを向けた。
何を言われるかドキドキするわたし。
「理愛をECU設計に戻し、真島係長を半導体デバイス設計に異動させると、理愛が可哀相な子だと思われ、周りからそういう目で見られるかもしれない。理愛の……つらい過去も聞いた。だから、俺とお試し交際しないか?真島係長に捨てられたかもしれないけれど、俺はデンタでトミタエリート三銃士のトップと言われてるぐらいモテてるみたいだから、真島係長よりも数段良い男だと思われてるはずだ。理愛には兄貴分にしか思われてない気がするがお試し交際をして、俺を男として思えるようなら、俺と結婚して欲しい」
律兄からプロポーズのような言葉を真剣な表情で言われた。
「律兄とお試し交際する。律兄もわたしの事を妹分にしか思ってないかもしれないよ。恋人同士になれるかわからないけど、律兄と付き合いたい」
わたしがそう言うと律兄は嬉しそうだった。
その後は、いつも通り、お酒を飲みながら美味しいご飯を食べて、律兄に送られてわたしは家に帰った。
「土日は俺ん家で過ごそう。土曜日の8時半に迎えに行くから1泊2日泊まる準備しとけよ。後、木曜日から俺、社内でお前を溺愛するから覚悟しとけよ」
そう言って、律兄はわたしの頭をいつものように撫でて、知立駅に向かって歩いていった。
会社は仕事をしに行く所だから気にはしてない。
技術系オフィスビルには女性社員はあまりいなくて、いても派遣のCADオペレーターか各部署にいる事務職の子。
半導体デバイス課は事務員が2人女性社員がいるだけで、後はわたし以外は男性社員。
だから、部署内では特に問題無く仕事がこなせた。
「……ECUに問題があったか。原因がわかったからそこを修正したら完了だな……」
長谷川主任と一緒に半導体デバイス設計課に戻ってきた律兄が呟く。
「ECU設計課、わかってるやつ居ないな。できるやつがいないの問題だろ。昨年までは高度な設計をしてたのに、ここ最近エラー出しまくりだろ」
長谷川主任はずっとECU設計課にこもってた。
かなり酷かったらしく、呆れてるようだった。
「できる人間をECU設計に入れる人事に口出すか?さすがにあれはないわ……」
律兄が長谷川さんの意見に同調する。
律兄と長谷川主任はECU設計課に苛立ちを感じてるようで、苦言を言い続ける。
「責任者の真島係長が1番わかってないのが問題だろ」
「責任者になって3年らしいけど去年までできてた事ができないっておかしいよな」
長谷川主任が拓哉の知識の無さを問題視し、律兄も去年と今年のECUの精度の違いを疑問視してた。
昨年までは最終的にわたしが訂正していたから形になってた……。
わたしが最終的にECUプログラムや部品を設計してた。
「今回は俺が全て訂正入れたけど、今後の事を考えると昨年までにECU設計にいた優秀な人材をECU設計課に呼び寄せて貰わないと、今後、任せられないよな」
「確かにな……」
長谷川主任のダメ出しぶりから、今のECU設計課の造り出すECUは相当マズイのだろう……。
「真島主任、宮瀬さんの元婚約者ですよね。宮瀬さんが真島主任の代わりに仕事をしてたって噂で聞きました。やっぱりあの人、仕事ができないんだ……」
新入社員で空気の読めない中津くんが律兄と長谷川主任の話の中に入る。
律兄は、女性社員からわたしが婚約してた相手から他の女性との間に子供ができたからと捨てられた事を知ってる。
その相手が、仕事ができないと2人が今罵ってる拓哉と知られたのが恥ずかしかった……。
律兄は必要ない話については気になってもスルーする。
だから中津くんが話した事も、一瞬目を見開き固まったけれど、何も反応しなかった。
次の日の水曜日、律兄との恒例の飲み会。
律兄に婚約していた人の事を知られ気まずいけれど、仕事が終わってから家にいったん帰って着替えてメイクを直して待ち合わせ場所の知立駅前に行く。
律兄は今日は少し遅れて到着した。
そして、今日は個室の大人の雰囲気の居酒屋に連れて行ってくれた。
「理愛、今日は仕事について少し話していいか?」
料理とお酒を注文し、個室に運ばれた後に、律兄が言いにくそうな表情を浮かべながら、口を開く。
「来月から、理愛をECU設計課の主任として戻す。そして、半導体デバイス設計課に真島係長を異動させる」
律兄の言葉にポカンとしてしまうわたし……。
「半導体デバイス設計課がデンタではエリートコースと思われてるが俺はECUの方が半導体デバイスより高度で重要な仕事だと思ってる。不具合でリコールが出る原因がECUだったりする。だから、ECU設計をできる人間にやって貰いたい。真島係長に関しては他の社員からの聞き取りから、理愛が半導体デバイス設計課に異動してから真面目に仕事に取り組んで無かったらしい。婚約している彼女が出世コースに乗ったのを僻んだんだろう……。でも、元々知識は無く、理愛がいたから係長になれた男だ」
律兄はわたしの目を見ず、ビールのジョッキを見つめながら言った。
「後、俺がデンタに出向するのは来月いっぱいまでだ。それ以降は長谷川と藤堂は2ヶ月先までいる予定だが、共同開発する半導体デバイスが完成したら撤収する。……理愛と一緒に仕事ができるは後、1ヶ月半か。でだ、理愛にもう一つ提案がある」
そう言うと、律兄がわたしに真剣な眼差しを向けた。
何を言われるかドキドキするわたし。
「理愛をECU設計に戻し、真島係長を半導体デバイス設計に異動させると、理愛が可哀相な子だと思われ、周りからそういう目で見られるかもしれない。理愛の……つらい過去も聞いた。だから、俺とお試し交際しないか?真島係長に捨てられたかもしれないけれど、俺はデンタでトミタエリート三銃士のトップと言われてるぐらいモテてるみたいだから、真島係長よりも数段良い男だと思われてるはずだ。理愛には兄貴分にしか思われてない気がするがお試し交際をして、俺を男として思えるようなら、俺と結婚して欲しい」
律兄からプロポーズのような言葉を真剣な表情で言われた。
「律兄とお試し交際する。律兄もわたしの事を妹分にしか思ってないかもしれないよ。恋人同士になれるかわからないけど、律兄と付き合いたい」
わたしがそう言うと律兄は嬉しそうだった。
その後は、いつも通り、お酒を飲みながら美味しいご飯を食べて、律兄に送られてわたしは家に帰った。
「土日は俺ん家で過ごそう。土曜日の8時半に迎えに行くから1泊2日泊まる準備しとけよ。後、木曜日から俺、社内でお前を溺愛するから覚悟しとけよ」
そう言って、律兄はわたしの頭をいつものように撫でて、知立駅に向かって歩いていった。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
結婚までの120日~結婚式が決まっているのに前途は見えない~【完結】
まぁ
恋愛
イケメン好き&イケオジ好き集まれ~♡
泣いたあとには愛されましょう☆*: .。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
優しさと思いやりは異なるもの…とても深い、大人の心の奥に響く読み物。
6月の結婚式を予約した私たちはバレンタインデーに喧嘩した
今までなら喧嘩になんてならなかったようなことだよ…
結婚式はキャンセル?予定通り?それとも…彼が私以外の誰かと結婚したり
逆に私が彼以外の誰かと結婚する…そんな可能性もあるのかな…
バレンタインデーから結婚式まで120日…どうなっちゃうの??
お話はフィクションであり作者の妄想です。
【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜
四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」
度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。
事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。
しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。
楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。
その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。
ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。
その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。
敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。
それから、3年が経ったある日。
日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。
「私は若佐先生の事を何も知らない」
このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。
目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。
❄︎
※他サイトにも掲載しています。
彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】
まぁ
恋愛
【1分先の未来を生きる言葉を口にしろ】
天野玖未(あまのくみ)飲食店勤務
玖の字が表す‘黒色の美しい石’の通りの容姿ではあるが、未来を見据えてはいない。言葉足らずで少々諦め癖のある23歳
須藤悠仁(すどうゆうじん) 東日本最大極道 須藤組若頭
暗闇にも光る黒い宝を見つけ、垂涎三尺…狙い始める
心に深い傷を持つ彼女が、信じられるものを手に入れるまでの……波乱の軌跡
そこには彼の底なしの愛があった…
作中の人名団体名等、全て架空のフィクションです
また本作は違法行為等を推奨するものではありません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる