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秘めた趣味とオフモード

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20:30に帰宅してすぐにメイク落としてから、ハーフパンツに首のよれたTシャツというゆるい恰好でエアロバイクを30分とランニングマシン30分の美トレをする。

大画面のTVで観るのは、
『……いっ……あ、あん。専務…お願い、意地悪しないで……」
ちょっとどころかかなりエロいTLアニメ。
ーー性的欲求不満で観てるわけではないですよ!!

私が執筆した小説がアニメになり、それを観ながら見ながら汗を流す。
小説家になりたかった私は、高校時代にスバル賞や小説藝賞などの文学賞への応募と小説投稿サイトに作品投稿をしてた。
文学賞は擦りもせず、小説投稿サイトでもなかなかコンテストで名を刻めず、ランキングも底辺だった私。
20歳を過ぎてからエロ描写を駆使したBLとTL小説を執筆したらTL小説文庫レーベルに見初められ、小説家デビューを果たしす。 

私が手がけた小説が漫画化やアニメーション化するのは嬉しいけど……
『……んんんんっ、やあ……なんか変になっちゃいそうっ……』
『いいよ、……何度でもイッて』
TL小説故にエロアニメーションで、しかも文章での描写よりアニメーションの方が卑猥さが格段に勝るから観ていて恥ずかしくなる。

“愛蕾に差し込まれた指を前後にゆっくりと動かし、同時にそのすぐ上にある小さな蕾を空いている指でぐりぐりと押しつぶす”
と文章にしたためた描写が……アニメーションだと直部をリアルに描いていて思わず目を逸らす。
ーーいらないでしょっ、そこ!!

“抵抗する私に『罰だ』と指が割れ目を下になぞっていきありえない場所の窄まりに入れられ、大きく滾った剛直で後ろから一気に貫いた”
というお仕置き描写も……可哀想過ぎて、見てられない。
ーー3分の2がやってる描写って、これ、本当に女性向けアニメなのか!? 

出版社から送られた私が手がけた小説のアニメーションDVDをかなり狼狽えながら見終わると、美トレタイム終わりにし、バスルームへ向かった。


刺激の強いエロアニメーションが脳裏から離れず、身体が悶々とし疼き、バスルームで火照る身体を自分で慰める。
(彼氏がいない独り身の私がTL小説家って、虚しくて泣けてくる……)

お風呂から上がると、顔パックをしてから身体にボディーバターを身体に塗り込み、楽さ重視のウニクロの色気が全く感じられないルームウェアに着替える。
外では女子アナ風の清純派綺麗めファッションをしてるから、家でもベビードールやネグリジェを着てると思われてるけど、彼氏がいない私は家の中でお洒落をする必要ない。
仕事柄美容には気をつけてるけれど、実は私はファッションにはそれほど興味はない。
妄想小説を書いたり読んだりするのが大好きなメルヘンチックなオタク女子に過ぎない。

TL小説を描いてるのに実は処女な私。
小説を執筆するためにその手の動画や小説、漫画を読んで勉強した。
知識だけあっても経験がないから、薄っぺらい描写しかできない私は、作品執筆にいつも悩んでる。

「……イクってどんな感じなのかわからないし、こんな肉棒の抜き差しが本当に気持ちいのか?尻を叩かれたり、噛み付かれても感じるって、理解できん」
自分でそう描写しときながら意味不明で、だから読者からの“私もこんなエッチしたい❤︎”というレビューを貰うまではいつも不安に駆られてる。

顔パックをとり、コンタクトを外してから愛用の黒縁眼鏡をかけ、外では斜めに流している前髪をピンで止めてから、鶏ハムサラダを食べながら、ノートパソコンを開いて執筆途中のTL小説の続きに取り掛かる。

出版社から依頼されたテーマにいつも頭を抱える。
新作の依頼が“ドS御曹司とのオフィスラブ。執務室での熱い情事”で、壁ドン顎クイからのドアに手を突きバックで挿入描写を必ず入れるよう指示された。

ーー仕事中にそんな事をするって、非常識極まりないわ!!
ノートパソコンのキーボードをカタカタ打ちながら、出版社からの依頼に毒を吐きながら、私はエロ描写7割の小説を描き進めた。


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