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仲たがいで会社分裂の危機

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「杉瀬副社長、完全に社長にぶちギレてるな」

葛城社長がトミタ関連のメーカー以外の新規発注を相談なしに独断で進めた事に対し、兄は不満を抱く。
半導体を生産するにあたり、付き合いのある部品メーカーと設備開発メーカーに発注をかける。
この業務はこれまでは白百合さんが行なっていた。

ALICE本社の開発設計部の社員、45人は苦悩する。

『既存の協力会社に発注かけるべきだ!!』

トミタ関連会社のプロジェクトを任されている社員が17人は主張する。

その他の会社からの仕事を受けている社員は20人は、

『受注先に合わせた方が取引対応がやりやすくなるのは確か。副社長は保守的で身内ひいきが強過ぎる。それだと身を滅ぼす』

と反論する。
大量生産させる製品の半導体はメーカーの工場に半導体製造装置をレンタルし生産をしていて、部品の発注や装置の修理などで蔑ろにされたり雑に扱われたというトラブルが発生したらしい。

「杉瀬さんはやっぱり副社長派?」

トミタ関連のプロジェクトの仕事についていたが、葛城社長の指示で私は半導体技術の研究チームに異動になった。

トミタ関連の会社なら開発技術が高く経営状態も悪くないと、兄は白百合さんから紹介して貰った電子部品会社と設備会社とだけ取引をし、発注をかけている。

ALICEでの開発の段階で、発注した部品の仕様を無断変更や連絡なしの納期遅延。
量産に入ってからは部品の欠品や品質劣化で受注先からのクレーム。

兄はこの報告を受けるも、よくある事と放置している。
半導体関して、現在、需要より供給が足りてない。
トミタ関連の仕事では1度もそういうトラブルは起きた事はないけど、他のメーカーでは電子部品の欠品や工場での生産ライン開始延期はよくあるらしい。

『半導体の仕様書作成して、製造装置のレンタルだけすればいいんじゃないか?材料調達と電子部品の製造はクライアントに任せた方が良くないか?』

トラブル報告を受け、その対応をするのが面倒臭くなった葛城社長。
ソミーからスマホの基板LSIの開発の仕事を請け負った際に、行動に起こしたんだと思う。

ALICEで行えない業務に関して受注先メーカーに任せた方がトラブル起きてもこちらにクレームはこず、材料調達に関しては量産を急ぎたいなら自社でなんとかするだろう。

「半導体設計開発はALICEが請け負っても、製品開発製造は受注先の会社なので、受注先の会社に任せた方がいいと思います」

ナノサイズなトランジスタなどの電子部品を製造できる電子部品メーカーにツテがソミーにあり、1.5nmプロセスのハイクオリティな3D基板LSIを開発する事ができた。

葛城社長も3nm以下の半導体製造装置を開発する事ができ、目的を達成して満足したのか、鬼畜度合いがマシになった気がする。



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