記憶のかなた

みやち

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衝撃の事実

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「こんにちは~、お待たせしました!君が奏多くんかな?オメガ科の原 優人まさとです。よろしくね」

ほわほわとした雰囲気のかわいい小柄な人が入ってきた。

「早速ですが、カルテを見させてもらいました。オメガ値が普通のオメガの子達に比べるとちょっと低いけど、奏多くんの体調不良の感じからして、後天性オメガで間違いないと思います。」

専門の先生からもそう言われると改めてそうなんだなぁと思い実感が湧いてくる…

「奏多くんはお母様が病院連れてきてくれたけれど、体調不良だって信じ込んで薬で誤魔化して、発情しちゃって悲惨な目に合う後天オメガも多いからね…お母さんに感謝するんだよ!!」

「ビョウインニツレテキテクダサリ、ホントウニアリガトウゴザイマス。」

反射のようにお礼の言葉を早口で口走ったら少し笑われた。ばあちゃんが連れてけって言ってくれてなかったら…と思うと冷や汗が出る。

「ここでもう1つ言っておかなきゃいけないのだけれど、奏多くんは運命の番に出会ってオメガ化しました。あ、運命の番ってピンとくる?」

「ドラマで良くやってる、アルファとオメガの間にある抗えない不思議な力…ですよね。そんなの本当にあるんですか?」

全然そんなの信じてなかったけど、真剣な顔で話してくれるから実際にある話なのかなとちょっと思い直した。

「ここ最近近づくといい匂いがしたり、お腹が痛くなる人いなかった?」

いた。まだまだ記憶に新しい。試合中のあの匂いや、トイレで出くわした時の匂いと腹痛が決定打だろう…頭を抱えたくなった。だってあの依久乃柊真が番とか信じるに信じられない。

「心当たりがあるみたいだね…?今日は色々あっていっぱいいっぱいだろうけど、ちゃんと良く考えるんだよ。」

それから発情抑制剤や、ネックガード、番についてなどオメガの常識を色々教えて貰った。先生とはかなくん、まーちゃん先生とお互い呼び合うようになり、助手なのか看護士なのか分からないが目つきの悪い大柄なイケメンに終始睨まれていた。何故だ。

そろそろ終わりという所でちょいちょいっとまーちゃん先生に呼ばれる。

「これアフターピル。もしかしたらいつか必要になる時が来るかもしれないから、お守りとして持ってて。今日一通りオメガについて教えてあげられたと思うけど、この手引きも一緒にあげるからよく読むようにね」

本気で心配してくれているのがわかったので、大人しく受け取った。妊娠とか全然分からないけれど、オメガになって赤ちゃん産める身体になったんだと少しだけ実感した。ほんの一瞬だけ依久乃と番になり、子どもを産むとかいう想像がよぎる。

え、俺なに当たり前に番とかオメガだとか受け入れちゃってるの…と自分が信じられない。これは環境への順応性の高さとポジティブに捉えて良いのだろうか。

「ふふっ、かなくん1人で百面相なんかしてどうしたの?途中ニコニコしてたから、その想像がかなくんにとって幸せなものならいいなぁ。今日はこれでおしまいです。ちゃんと調べないといけない事もあるから、また予約取って来てください!」

ふにゃっと笑うまーちゃん先生の破壊力よ…可愛すぎる。笑顔に見惚れていたら、あれよあれよという間にさっき睨まれていた看護士さん?に診察室を追い出されてしまった。解せぬ。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
裏設定
まーちゃん先生も同じく後天性オメガです。
もちろん奏多曰くの「看護士さん?」は、まーちゃん先生の番さんです。後日このカップルのお話も書きたいなぁと思ったり。
ちまちまと更新し続けますので、よろしくお願い致します!!

みやち
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