召し使い様の分際で

月齢

文字の大きさ
上 下
158 / 259
第20章 桃祭り開催

身体検査

しおりを挟む
 僕はこれまで、数々の失敗や失言を繰り返してきたと思う。
 そして今また、特大のやらかしをしてしまったことを、思い知らされる羽目になっていた。

「罪人の身体検査はどうやるか、知ってるか? 変質者くん」
「し、知らな……」

 不穏なほど優しい笑顔の寒月に問われて首を横に振ると、青月が「じゃあ、やってみよう」と僕の手を引き、これまた軽々と抱き上げて、寝台の横に立たされた。
 相変わらず二人は着衣のままで、僕だけがすべて露わにして、二人の熱っぽい視線を受けている。
 たまらず寝台の掛布で躰を隠そうとすると、青月にそっと阻まれた。

「身体検査をする約束だろう?」
「そんな約束した!?」
「危険な物や違法な薬物などを持ち込んでいないか、必ず調べるものなんだ変質者くん」
「持ってるわけない! 見ればわかるだろっ」

 どう見たってすっぽんぽん、これ以上ないほど非武装じゃないか!
 なのに青月は喉を鳴らす猫……いや虎の目で微笑んで、「そう、見ないとわからないからな」と、僕の両手を握った。

「男が牢獄に何かを持ち込もうとしたら、隠す場所は決まっている。だから必ずこうして……両脚をひらかせて立たせ、膝に手をつかせて」
「え……やだやだ!」

 ようやくその意図がわかって抵抗したが、青月はとろけそうなほど甘い声で、「大丈夫、ひどいことはしないから」と微笑むばかり。
 すでに充分ひどいんだが!
 この双子はこういうときばかり仲良く共同作業をするから、寒月も寝台の上を移動してきて、「そう、ひどいことはしない」と、背後から僕のお腹をやんわり押さえた。

「はーなーせーっ!」
「抵抗しても疲れるだけだぞ、変質者くん」

 青月の言葉通り、二人は決して僕の躰を痛めるような押さえ方はしない。なのに、どう足掻いてもびくともしない。相手の抵抗を封じる術を熟知しているってやつだ。ずるい!
 あっというまに、僕は直角にお辞儀をして、お尻を寒月に突き出すという、信じられない姿勢にされてしまった。背後から「マジ最高」と感じ入ったような声がかけられる。

「真っ白い美尻の奥に、エロい桃色の蕾を隠したな。 ぜんぶ丸見えだぞ変質者くん!」
「やーだー! 見るな変態いぃぃ」
「違うだろ、変質者はアーネストだろ?」
「変質者だ、変態じゃない! ていうかもう変質者やめる!」
「口先だけなら何とでも言えるからなあ」
「うわあぁん寒月のバカーッ!」

 涙目でわめいていると、青月が跪いて僕の頬を両手でつつみ、「静かに。こっちには何も隠してないか?」と唇を寄せてきた。

「か、隠してな……」
「調べないと」

 あやすように唇を食まれ、吐息と共にひらいた口内に、舌が潜り込んできた。

「ん……ふっ」

 優しく舌を絡められ、上顎を舐められて。
 口づけられたまま膝に留められていた手を引かれると、青月の肩に抱きつくことを許された。恥ずかしい格好なのは変わらないけど……。
 口内を探られる心地よさに酔いしれ、恥ずかしさすら甘い棘みたいに感じ出した頃合いで。

「ひあっ!」

 ビクンと、文字通り跳ね上がった。
 あらぬところに、ぬるりとした感触。
 寒月が、僕のお尻を割りひらいて、あそこを舐めてる……!

「ダメ、寒月! 湯浴みもしてないのに……ッ、あっ、やああ」
「俺もうしろのお口にキスしてるだけだが?」

 熱い舌が躊躇なく襞を這い、つんつんと入り口を突いてくる。

「はっ、あっ、そんな……きたな、い、からあ」
「いや。それが不思議なことに、お前はこんなとこまでいい匂いがするのよな」
「ああ、それは俺も前回思った。薬草の花みたいな匂いだ」
「それな」
「バカバカバカ、バカ双子ーっ!」

 何てことを話題にしてるんだよ! 本人を前にして!
 誰かこの二人に、繊細な気遣いというものを教えてやって!

 怒っているのに、「大声出すとキュッとすぼまって可愛い」と喜んでる寒月に至っては、もうどうすればいいものやら。
 だがすぐに、腹を立てる余裕も無くなった。

 寒月が、再びクチュ、と卑猥な音をたてながらそこを舌で探ってくる。さらに大きな手で僕の性器をつつみ、ゆるゆると扱き始めた。

「はあっ、あ……んんっ」

 思わず喘いだ口を、青月の唇に塞がれる。
 青月は食い入るように僕を見つめて、乳首を指の腹でこすったり、摘んだりしてきた。男の乳首なんて、普段は胸についてることすら忘れているのに、この二人に愛撫されると、どうしてこんなに気持ちよくなるの……。

「やっぱ滑りが足りないな」

 寒月の呟きに、青月が顔を上げて「使え」と何かを放った。パシッと小さな音がして、寒月が受け取ったかと思うと。
 とろりと、お尻のはざまを液体が伝った。

「ひゃうっ! そ、それ……」
「桃マルムだから安心しろ。うおお、ヌメヌメ光ってめっちゃエロい」
「ばっ……ああっ!」

 油断したところへ、ツプンと指が差し込まれた。
 反射的にキュッと締めつけてしまい、そのせいでよけいに異物感が際立って、おぼえのあるその感触を味わうように性器が揺れる。

「身体検査で感じてるのか? 変質者くん」
「や、だっ、あ、あ」

 楽しそうな寒月の声。
 言い返したいのに、浅く深く抜き差しされて、中でぐるりと動かされたり、強烈な快感を生む箇所を押されたりして、出てくるのは濡れた喘ぎばかり。
 立ったまま、お尻を突き出して弄られているという恥ずかしさと相俟って、脚がガクガク震えてきた。

「もう、だめ……立ってられ、ない」
「こら。まだ身体検査の途中だぞ」

 青月も助けてくれない。
 寒月が「もっとよく調べないとな」と指を二本に増やして、くちゅくちゅと耳を塞ぎたくなるような音をたてながら、中にマルム汁を塗り込むように動かしてくると、僕は抑え切れずに嬌声を放った。

「ん? やっぱり検査されて感じているのか?」
「ちがっ、んっ、あ、」
「可愛いお尻を揺らして、自分から指を咥え込んでいるじゃないか」
「そんな、こと……あっ、んっ」

 言葉と裏腹に、僕の先端からは透明なものがじわじわ溢れて、マルム汁の滴りと溶け合い、太腿を伝い落ちていく。
 寒月は意地悪な言葉で僕を責めて、でも決して乱暴に動かさず、優しく後孔を解してくれているものだから……もう、言い訳のしようもなく……気持ちいい。

「もっと奥に隠しているんだろう」

 僕の乳輪を撫でながら、青月が煽ってくる。
 寒月が「そうだな」と低く笑って、指を三本に増やした。

「ああ! んっ、……あ、あっ」
「痛みはないよな……?」

 長い指で奥深く抉られながら、僕は何度もうなずいた。
 さすがにもう立っていられず、青月にしがみつくと、噛みつくようなキスをされる。
 僕の腰を支えて『持ち物検査』をしている寒月も、「はあ、限界。血管切れそう」と大きく息を吐き出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。