召し使い様の分際で

月齢

文字の大きさ
上 下
30 / 259
第7章 薬草研究の賜物

青月

しおりを挟む
 僕はいわゆる『耳年増』みたいなものだった。
 異性との、あるいは同性との性行為について、ジェームズはきちんと教えてくれた。皇族でもあったから、僕が子をもうけた場合、いろいろややこしいことになると、注意を促すためでもあったろう。

 でも僕には、そんな心配は無用だった。
 虚弱な躰は生きることに精いっぱいで、性欲に割く体力は無かった。
 自慰の経験すら無いとは言わないが……自分でも呆れるほど性に関して淡白で、短命の家系でもあるし、相手が気の毒だから見合い話はすべて断った。

 恋愛話も、使用人や領民たちの話を聞くだけで良しとしていた。
 別に卑屈になっていたわけではなく、恋愛には縁遠くても平和で穏やかな日々に感謝していたし、ウォルドグレイブ家の最後の主として死んでいく、そういう人生なのだろう――くらいに考えていた。

 なのに……。
 僕に覆いかぶさった青月の、真剣な眼差しに射抜かれながら、まさか自分がこんなことをしているなんてと、未だ夢を見ているみたいに思った。
 が、押し当てられた剛直に後孔をひらかれる感覚は、どんな夢想も吹っ飛ぶほど生々しかった。

「ああっ、やっぱり無理い……っ!」

 寒月に背中をあずけ、青月に両脚を押しひらかれて。
 自分から煽ったくせに、いざとなると、その大きさに怯えた。

「大丈夫だ。絶対に傷つけたりしない、信じろ。……ちゃんと息、吸ってるか?」

 青月が優しく囁き、寒月は髪や額にあやすようなキスをくれる。
 僕は言われるがまま、懸命に大きく息を吸った。
 と、それに合わせて、先端がずぶりと入ってきた。

「――っ!」

 声にならずに仰け反ると、その胸を寒月が愛撫してくる。
 全身が些細な刺激にも敏感になっていた。乳首を捏ねる指の腹の感触まで、はっきりと感じられる。
 その間にも青月は、マルムの分泌物のぬめりを借りて、確実に僕の中へと押し入ってきた。

「ひあっ! やっ、あっ、んあっ」

 ぐっ、ぐっ、と腰を進められる動きに合わせて声が漏れ出す。
 絶対無理と思ったのに、大きなものが、ずぶずぶと僕の中に呑み込まれていく。
 内部に含んだ衝撃で涙があふれて、手も脚も震えが止まらない。

「は、入……っ、それ以上はだめ、怖いぃ」

 屹立していた僕のものも、元気を失った。
 が、青月の大きな手のひらにつつまれ、ゆるゆると扱かれると、持ち主にはおかまいなしに元気を取り戻した。
 怖いと言いつつ勃たせてる僕。混乱の極みだよ。

「うう、もう嫌だぁ」
「大丈夫だアーネスト……全部は挿れないから」
「う、嘘っ」

 もう全部おさまったと思ってた!
 しかし青月は僕の言葉を勘違いして、

「嘘じゃない。少しずつ慣らそうな」

 言いながら、さらにずぶずぶと入ってくる。
 
「やっ! あっ、あー……!」 
 
 奥深くまで怒張が潜り込んできて、苦しいのに、自分でも驚くほど甘ったるい声を上げていた。
 身をよじった拍子に、欲望にまみれた双子の視線が注がれていることに気がついた。
 あられもなく脚をひらき、晒された秘所に欲望を受け入れている姿を、見られている。
 カッと全身が熱くなった。

「なんで見てるのさっ」
「なんでって……」

 寒月は珍しく照れたように口ごもったが、視線はまったく逸らさない。
 青月は汗に濡れた髪をかき上げ、大きく息を吐き出した。

「見ないほうがおかしいだろう……こんなにいやらしくて、可愛いお前を」
「だっ、誰がいやらし……ひうんっ!」

 いっぱいに入っていたものを、ゆっくりと抜かれて、おかしな声が出た。

「動くぞ」

 遅い! もう動いてるじゃないか!
 抗議したかったけど、再びゆっくりと挿入されて、内壁のある部分をぐりっと刺激された途端、目もくらむような快感が突き抜けた。

「ひああっ! あ――……」

 腹にポタポタと温かな感触。
 触れもせず、挿れられて射精してしまったのだと、一拍遅れて気がついた。

「アーネスト……中で感じたのか?」

 嬉しそうに覗き込んできた寒月の顎を、ペシッと叩く。「いてっ!」と言いつつ幸せそうなのは何故なんだ。

「もう嫌だ、恥ずかしい……!」

 羞恥心で死にそう。
 こんなときこそ失神すればいいのに、今夜の僕はやたら元気だ。
 せめてもと両手で顔を隠したが、青月にそっと外されてしまった。

「愛してるよアーネスト。お前が感じてくれて、すごく嬉しい」

 普段クールな青月が、幸せでたまらないという顔で笑うときの、この破壊力よ。毎度ドキッとさせられてしまう。

「ここ、好きなんだな?」
「はあうっ! あっ、そこだめっ」

 ときめいている暇もありゃしない。
 ゆっくりと抽挿しながら、感じる部分を先端で擦り上げられて、僕のものがまた頭をもたげてきた。
 抜き挿しされるたび、つながった箇所から耳を覆いたくなるような卑猥な音がする。
 でも僕はそれ以上に、いやらしい声を上げていた。

「あっ、ああっ! んうっ、ひうっ」

「エロいアーネスト、可愛すぎて鼻血出そう」

 馬鹿なことを言う寒月にも抗議したかったが、僕を片腕に抱えたままキスしてきて、喘ぐことしかできない。
 青月に腰を揺さぶられながら寒月に唇を貪られ、信じられないほどの悦楽に支配された。 
 いつしか抽挿はせわしなくなっていて、僕の前方も揺れながら先走りをこぼす。

「アーネスト……もう少し、挿れるぞ」

 青月が、荒い息の合間にそう言って。
 次の瞬間、ズクッとさらに奥深くまでこじ開けられ息を呑んだ。

「――ッ! あっ! ああー……っ!」

 深いところまで怒張を咥え込んだまま、僕はまた達していた。
 強すぎる快感に躰がひくつき、白濁をふりこぼしながら、青月のものをきつく締めつける。
 青月は低く呻いて、ゆっくり腰を引くと、僕の腹に熱いものを迸らせた。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が性魔法の自習をする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 「両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が初めてのエッチをする話」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/575414884/episode/3378453 の続きです。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

妹に長女の座を奪われた侯爵令嬢、『文官』加護で領地を立て直す

eggy
ファンタジー
「フラヴィニー侯爵家息女マリリーズ、お気の毒だが私に貴女と婚約する気はない!」  夜会で侯爵家次男から突然そんな宣言をされた14歳のマリリーズは、一歳下の妹ミュリエルの謀にはまったことを知る。  マリリーズが4歳のとき侯爵の父が死亡し、国の決まりで長女が15歳で成人するまで叔父が暫定爵位についていた。  しかし再婚した叔父と母は、ミュリエルが長女であると偽って国に届けてしまった。  以後マリリーズは三人から虐げられて生きている。  このままではミュリエルが15歳で爵位を継ぎ、マリリーズは放逐されることが予想される。  10歳のとき加護を賜る儀式で、ミュリエルは強力な火魔法を、マリリーズは聞いたことのない『ブンカン』という加護を得る。いろいろ事務仕事に役立つが、極め付きは読める場所にある文書を書き換えられることだ。  文官に役立つ能力を得たということで、それからマリリーズは男装をして叔父とともに王宮に通い、執務を手伝うことを命じられた。  ほとんど使用人と変わらない扱いの日々が続く。  そんな中でマリリーズは領地の窮状を知る。当てにならない叔父には秘密に、家宰の協力を得て、マリリーズは加護の能力をさまざまに利用して領地の立て直しを目指すことにした。 「この現状を捨て置くわけにはいかない、ここで目を逸らしたら絶対後々に悔いが残る!」と。  領地救済と成人後の自立を目指して、マリリーズは行動する。

俺は、嫌われるために悪役になります

拍羅
BL
前世では好かれようと頑張のに嫌われたので、今世では始めから嫌われようと思います。 「俺はあなた達が大嫌いです。」 新たに生を受けたのはアルフ・クラークソンという伯爵の息子だった。前世とは違い裕福な家庭へと生まれたが、周りの人々の距離は相変わらずだった。 「そんなに俺のことが嫌いなら、話しかけなけばいいのに…。」 「今日も、アルフ様は天使のように美しくて眩しいわ。」 そうアルフが思っていることも、それと反対のことを周りが考えていることも当の本人は知らなかった。

妾の子である公爵令嬢は、何故か公爵家の人々から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
私の名前は、ラルネア・ルーデイン。エルビネア王国に暮らす公爵令嬢である。 といっても、私を公爵令嬢といっていいのかどうかはわからない。なぜなら、私は現当主と浮気相手との間にできた子供であるからだ。 普通に考えて、妾の子というのはいい印象を持たれない。大抵の場合は、兄弟や姉妹から蔑まれるはずの存在であるはずだ。 しかし、何故かルーデイン家の人々はまったく私を蔑まず、むしろ気遣ってくれている。私に何かあれば、とても心配してくれるし、本当の家族のように扱ってくれるのだ。たまに、行き過ぎていることもあるが、それはとてもありがたいことである。 ※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?

望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。 ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。 転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを―― そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。 その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。 ――そして、セイフィーラは見てしまった。 目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を―― ※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。 ※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない

かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。 女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。 設定ゆるいです。 出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。 ちょいR18には※を付けます。 本番R18には☆つけます。 ※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。 苦手な方はお戻りください。 基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。

義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。

アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。 捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!! 承諾してしまった真名に 「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。