せな君とせらちゃん

momo

文字の大きさ
上 下
6 / 16

6話 脅し 

しおりを挟む
「あ、えっと……返さないって?わ、私のだよ」

「知ってるよ」

 頭が真っ白になり、訳がわからなくなる。
 それなのに、なおも笑顔でいる瀬那君は何者なんだろうか。
 
「中身、少し読んじゃった。世良ってこういう性格だったんだね」 

「なっ……!!」

 終わった!
 一番聞きたくなかった言葉だ。
  
「それなら、もう演技する必要もないから、はっきり言わせてもらうけどね、瀬那君こそ“ねじまがった性格”ね!」

 思い切り皮肉を込めて言う。
 
「それじゃあ、俺も演技は止める。お互い疲れるだろ?……世良 咲恋、俺がこの手帳を学校中に広めたら、どうなると思う?」

「……ふんっ!あなたに答える必要はない。」

 火花を散らしながら、睨みあう。
 私だって、やればできるんだからっ!
 なめてもらっちゃ困る!

「……へぇ」

 瀬那君は、不敵に笑いながら近づいてくる。
 
「な、何よ。なんか文句あるわけ?」

 強気に言い返すけど、声が震える。
 私は、一歩一歩下がっていく。
 あれ?待てよ……?
 このまま下がると壁にぶつかるんじゃ?

「……ひっ!」

 しまった……。
 気づくのが一瞬遅かった!
 瀬那君はそれを狙ったように、壁に両手をついた。
 か、壁ドン……!
 これは、超萌える展開!
 でも、悔やむべきことが一つ……どうしてこいつに“この”私が、壁ドンされなきゃいけないの!?
 あ"あ"、今すぐ呪いの手帳にこの状況について、書きなぐりたい!
 いや、ここは冷静にいなくちゃ。
 
「答えないってことは、学校中に広めていいんだろ?」
 
「は?誰がそんなこと言った?」

 私は、こめかみに青筋が浮き上がるのを感じながら、怒りを耐える。
 
「じゃあ、広めちゃダメってことか?」

「ふんっ!まぁ……そういうことになるわね」

 認めたくなくて、ついつい遠回しに言ってしまう。

「ふ~ん、だったら返すよ」

「えっ!?ありが____」

「その代わりっ」

 素直になったと思ったら、なんなのよ!
 こいつ、私より裏の顔が酷い。
 本当に人間なのかすら、気になる。
 もしかしたら、悪魔なのかも?
 どっちにしろ関わりたくないのに___!
 
「俺に絶対服従な」

「はっ!?なっ、なっ!」

 いきなりの命令に言葉が出てこない。
 はっ!?はっ!?
 どういうことよ?!

「そ、そんなこと“はいはい、分かりました”って聞ける訳ないじゃない!バッカじゃないの?」

「そんなこと言っていいのかよ?手帳のこと、学校中に広めるぞ?」 

 “どうだ?反論できないだろう?”と言わんばかりの顔で私を見下ろす。
 
「……んぐぐっ!」

 壁ドンから、とりあえず逃げよう。
 瀬那君の腕の下をくぐろうとすると、足で塞がれる。
 
「チッ」

 瀬那君をキッと睨み付ける。
 
「退いてよ」

 そういうと、さらに私に身体を近づけた。
 瀬那君の綺麗な顔が近づき、一瞬だけドキッとした。
 
「返事は?」

 瀬那君は、ニコニコと笑いながら、私の様子を観察している。
 いつか、こいつの本性を学校中にばらしてやるんだからっ!
 そうなったら、一体どういう反応をするだろう。
 興味深いな……。
 こうなったら、一旦言うことを聞いてやろうじゃないの!

「いいわよ。女に二言はない。何でもどうぞ?」

 言ってやった……!
 堂々とねっ!どうよ?
 
「ククッ、ハハハハッ!言ったな?ホラよ」

 私から離れたと思ったら、手帳を放り投げてきた。

「おっと!投げんなよ、バーカ!」

「そういう発言、いいのかよ?屈辱的なこと、指図してやろうか?」

「……んむむむっ!」

 悔しい、悔しい!
 帰ったら、この手帳の最後のページまでこいつの悪口書いてやるんだからっ!
 あー、どうしてこうなった!?
 私の手帳を拾った人が、こいつじゃなければ……。
 こいつ以外なら誰でも良かった!

 もうっ!瀬那君に従って、これからの高校生活どうなっちゃうの?!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

たくさんの視線のある中,女子高生がバスでいやらしいことをされ,連続絶頂

sleepingangel02
恋愛
バスに乗ろうとしていた女子高生に超絶イケメンな男性が

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

処理中です...