せな君とせらちゃん

momo

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5話 人生最大の危機

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 萌香の恋愛相談にのってあげた帰り、1人廊下を歩いていた。
 ホントにもう、萌香ったら何人目の好きな人だろ……?
 こんなに惚れやすいのに、恋愛下手っておかしいでしょう。
 親友だし、呪いの手帳に書き込むほどでもないけどさ~……。




 ___あれ?そういえば、手帳の感触がないなぁ。
 ……もしかして!
 慌てて制服のポケットを探る。
 ない!ない!ない!
 どこにもない!
 いつも、制服のジャケットの右ポケットに入れているのにっ!
 念のため、スカートのポケットも確認する。
 嘘でしょ!?
 これまで、無くしたことなんて、なかったのに!
 半泣きになりながら、時計を見上げる。
 昼休みは、あとちょっとしかないよ!
 どこで無くした!?
 思い出せっ、咲恋!
 えーと、えーと……教室から体育館裏に行って、萌香のところ__2階の踊場に行って、それから今に至るからっ。
 それで、手帳を取り出したのは、体育館裏だから……。
 とりあえず、体育館裏にレッツゴーだ!



 
 ヤバいよ~~~!
 あの手帳が誰かに見つかって読まれたら、私の高校生ライフは終了だっ。
 今まで、努力して手にいれた“天使の世良ちゃん”という地位が失われる!
 萌香以外の人には、相談できないし……。
 なんとしてでも、昼休み中に自力で、見つけなきゃ。
 体育館裏にたどり着き、私がいた場所まで行く。

「嘘でしょ?!ない、ない!」

 絶対ここに座った!
 なのに、ないってどういうことっ?
 もしかして、他の場所で落とした?
 落としたのなら、学校中回らなくちゃ……。
 そんなことしてたら、昼休みが終わっちゃうよ~。
 乱れた息を整え、また走りだそうとしたそのとき____





「……世良 咲恋ちゃんかな?」

「は、はい!って……瀬那君」

 げっ、こいつかよ……。
 私、忙しいんだけど!
 体育館裏の影から、瀬那君が姿を現した。
 
「な、何の用かなぁ?私、今、すっごく急いでるんだけど、後からじゃダメ?」

 背の高い瀬那君の瞳をじっと見つめる。
 ……なんで私が、こんなことして、時間潰さなくちゃなんないのよっ。
 怒りを押さえるために、奥歯をギリッと噛み締める。
 
「世良ちゃんが後からでいいなら、俺は構わないんだけど、これって大事なものじゃなかった?」

「_……!」
 
 顔から、サッと血の気が失せるのが分かる。
 
「……な、なんで瀬那君が私の手帳を?」

 驚き過ぎて、こんな質問しか思い浮かばない。
 
「なんでって、今、世良ちゃんが立っている場所の辺で拾ったんだよ」

 私が、こんなに焦っているというのに、こいつは完璧スマイルのままだ。
 
「あの……それ、返してくれないかな?私、ちょうど探してたところで」

 中身を見たのか気になるけど、まずは返してもらわなくちゃ。
 私は、瀬那君に近づき両手を差し出した。
 そのときの私は、瀬那君が素直に返してくれるものとばかり思っていた。
 しかし、現実はそう甘くなかったみたいだ。


「………返さない(ニッコリ)」

 




 
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