ミッドナイトブルー

 高校三年生の篠崎美春は、毎晩変わらずやってくる静寂に満ちた夜が好きだった。
 肌に触れる空気の温度や辺りに漂う透明な匂い。そんな夜を構成する全てを愛していた美春は、あらゆるものが寝静まった真夜中の街に出て、誰の目にも触れず一人で歩くことを何よりの楽しみにしていた。
 そんなある日、美春はいつも訪れる真夜中の公園で、全身を黒色の衣服に包んだ少女〈如月涼香〉と出会う。

 ──これは、夜を愛する少女たちの、誰も知らない真夜中の話。
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