異世界モノつめあわせセット

銀狐

文字の大きさ
上 下
26 / 49
3.毒かと思ったら美少女になる薬だった件

3-2

しおりを挟む
「と、とりあえず別の服を着ましょう」
「お、おう」

 そう言うとエリーは服を貸してくれた。
 一番上には下着が置かれていた。

「…これも着るの?」
「うん」
「着ないとだめ?」
「だーめ!!」

 うぅ、まさか俺が着る羽目になるとは。
 なんでこんなことに。

「って、これエリーの下着だよね」
「っ!?変なこと考えないで!!」

 その、ごめんなさい。
 分からなくて時間がかかりつつも、ようやく着れた。

「うん、ぴったり」
「よかった。…ふむふむ」
「な、なに?」
「随分と可愛いなあって」

 部屋には鏡があった。
 身長はエリーと同じで150前後。
 髪は腰まである綺麗な銀髪。
 顔も整っていて美しいというより可愛い系。
 って、アイドル並みじゃないのか?

「これからどうしたらいいんだろう……」
「うーん、とりあえずみんなに相談してみる?」
「みんなって、ガッカ達?」
「そう。私一人よりみんなの意見を聞いた方がいいと思うの」

 たしかにそうだな。
 まずはみんなに相談してみよう。

「この格好で?」
「えっ、嫌だった?」
「いやー……」

 確かに可愛い服だと思うよ?
 ワンピース姿で街中にこんな可愛い子が歩いていたら目を引かれるよ。
 それだけあって、周りの目が怖い。

「大丈夫!可愛いから」
「そういうわけじゃないんだけど……」
「ほら、行くよ」

 手を引っ張られ、宴会をしていた所まで戻っていった。
 周りの目はもう、みんな立ち止まってまで見ていた。
 こんな可愛い子が二人いたら見ちゃうよねー。
 その内の1人が自分だと思うと複雑だけど。

「ん?エリーじゃないか」
「早かったわね」

 ガッカとアレンはまだ宴会の席にいた。
 というかガッカが起きている。
 一体どうやって起こしたんだろう……。

 そんな二人は俺を見ると驚いて固まってしまった。

「ど、どうしたの?二人とも」
「いやー、まさかな」
「二人にもう子供がいたとは驚いたわ」
「「えっ!?」」

 まさかの誤解。

「違う違う!俺はアビス!アビス・メイビスだよ!」
「「はぁ?」」
「本当だって!えーっと…そうだ!」

 勇者の俺には俺専用の武器がある。
 旅の途中で見つけた勇者しか抜けない剣だ。
 これを見せれば納得してくれるはず。

「見ててよ。聖剣―ブレイブ」

 勇者にだけ力を発揮させる聖剣―ブレイブ。
 攻撃力補正や魔法補正、刃こぼれも一切ないチートアイテム。
 これを見ればアビスだと分かってくれるはず。

「へぇ、娘に勇者を託したのか」
「ちっがーう!!」

 まさかこれを見せても信じてもらえないとは。
 ってか託すことなんてできるんだ。

「じゃなくて!だから俺が――」

 ドガーンッ!!

 どこからか大きな物音が聞こえた。

「なんだ!」
「あっ、おい!子供は――ったく!」

 俺は真っ先に音がする方向へと走っていた。
 何か大変なことが起きていたら一大事だ。
 頭で考えるよりも先に体が動いてしまう。

 音がしたところに着くと、そこにはおよそ30体の悪魔がいた。

「一体何が……」
「わっはっはっはっ!!勇者がいない今が攻める時だ!!」
「誰だ、あいつ?」

 悪魔の一番上には僕たちと変わらない大きさの少女がいる。
 あの子は一体……。

「さあ今こそお父様の仇を取るときだ!いけえぇ!!」

 命令を下すと、悪魔たちは動き出した。
 こうしてはいられない。
 町の人達を助けないと!

「ガッカ!町の人達の護衛を!アレンは遠くに行こうとしている悪魔の対処を!」
「子供が――」
「早くしろ!早くしないと被害が大きくなる!!」
「わ、わかったわ」
「アレン!」
「ここはこの子の言うことを聞きましょう」
「…わかった。後で詳しく聞かせてもらうからな」
「ああ」

 ガッカは走って街の人達のところへ向かった。
 アレンは遠くに行こうとしている悪魔に向かって魔法を唱えている。
 よし、これでひとまず大丈夫だろう。

「ねえ、あなたは本当にアビスなの?」
「だからそう言っているだろう?まあ、見てなって」

 俺はブレイブを構えた。
 悪魔たちは移動したが、ここにはまだ10体もいる。

「ちょっ!あなた一人で相手をするの!?」
「ああ、そうだが?」
「無理よ!子供が一人で対処できるはずが!」
「大丈夫だ。そこで見ていなって」

 魔王を倒したときなんてこいつらと何回戦ったことやら。
 もう数えきれないほどの悪魔を倒している。

 こんなやつら、雑魚でしかない。

「閃光斬」
「「「「「ぐあああ!!」」」」」

 ブレイブこの剣は俺の身体能力まで上げてくれる。
 正直女の子の身体だから心配したけど、大丈夫だったみたいだ。

黒の渦ブラック・スウィール!」

 悪魔も負けずと魔法を使ってきた。

 残念だったな。
 その魔法は聞かない。

「輝け!ブレイブ!!」
「「「「「うぐっ!」」」」」

 聖なる光だ。
 悪魔たちにとっては嫌いな光。
 魔法は消えていった。

爆炎イクスプローシブ・フレイム
「「「「「ぎゃあああ!!!」」」」」

 これでここにいる悪魔たちは倒した。
 後は上にいる謎の少女だけだ。

「何よ…せっかく勇者を殺したのに何なのよあなたたちは!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

アイテムボックスだけで異世界生活

shinko
ファンタジー
いきなり異世界で目覚めた主人公、起きるとなぜか記憶が無い。 あるのはアイテムボックスだけ……。 なぜ、俺はここにいるのか。そして俺は誰なのか。 説明してくれる神も、女神もできてやしない。 よくあるファンタジーの世界の中で、 生きていくため、努力していく。 そしてついに気がつく主人公。 アイテムボックスってすごいんじゃね? お気楽に読めるハッピーファンタジーです。 よろしくお願いします。

娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します

古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
ファンタジー
第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。 「愛するアデラの代わりに生贄になってくれ」愛した婚約者の皇太子の口からは思いもしなかった言葉が飛び出してクローディアは絶望の淵に叩き落された。 元々18年前クローディアの義母コニーが祖国ダレル王国に侵攻してきた蛮族を倒すために魔導爆弾の生贄になるのを、クローディアの実の母シャラがその対価に病気のクローディアに高価な薬を与えて命に代えても大切に育てるとの申し出を、信用して自ら生贄となって蛮族を消滅させていたのだ。しかし、その伯爵夫妻には実の娘アデラも生まれてクローディアは肩身の狭い思いで生活していた。唯一の救いは婚約者となった皇太子がクローディアに優しくしてくれたことだった。そんな時に隣国の大国マーマ王国が大軍をもって攻めてきて・・・・ しかし地獄に落とされていたシャラがそのような事を許す訳はなく、「おのれ、コニー!ヘボ国王!もう許さん!」怒り狂ったシャラは・・・ 怒涛の逆襲が始まります!史上最強の「ざまー」が展開。 そして、第二章 幸せに暮らしていたシャラとクローディアを新たな敵が襲います。「娘の幸せを邪魔するやつは許さん❢」 シャラの怒りが爆発して国が次々と制圧されます。 下記の話の1000年前のシャラザール帝国建国記 皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません! https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952 小説家になろう カクヨムでも記載中です

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太
ファンタジー
 ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。  ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

処理中です...